狭くても工夫次第!

――就任して何年になりますか?

宮坂監督(以下「宮坂」):就任して7年になります。スポーツ推薦がない中で今いる子でどこまで勝負できるか、頑張ってやれるかにこだわっています。この環境でも頑張れる子で頑張ろうと。学校も、勉強のレベルも上がっているのでそちらもやらせなきゃいけない。子供たちに求めすぎないように、消化不良を起こさないように、勉強もサッカーもちょっとずつ階段を登ろうと。

――部員が78人と、5人のスタッフがいると伺いました。

宮坂:僕と、総監督がいて、顧問があと2人くらいいて。あと、木、日にはトレーナーが来て、フィジカル面も指導してくれています。あと、今年から入った顧問も熱心に指導をしてくれるので、支えられています。

――フィジカルで変わったメニューとかは取り入れたりしてるんですか?

宮坂:特に奇をてらったものは無いです。全面的に信頼しているので。ただ共通認識として、トレーナーだから怪我したらすぐやらせない、じゃないというのはあります。彼も大学まで選手としてやってきたので、「痛めているけど頑張れるもの」とか、「やらなきゃいけない時期」とか、しっかり見極める方向でやりますと。

――指導のメニューは宮坂先生が決めるんでしょうか?

宮坂:基本的にはそうですね。

――おひとりで70人一斉に、ですか。

宮坂:長期休みは時間帯で分けたり、他のクラブ活動の状況もみながら調整できればグループなどで分けることもしますが、平日は基本一緒ですね。

――グランドが一面取れない、しかもすごく狭い中で指導の上で、工夫や一番気を使うところはあります?

宮坂:一番気になるのは、あまりできないロングボールとか、やっぱり大きな展開の距離感ですね。ウィークポイントです。練習の中でイメージが付き辛いところですね。
でも逆にストロングポイントは狭い分、局面毎での身体接触、アプローチの速さとかはそれなりに上手くいく。そういうところは狭いなりの強みであるのかなと思っています。

――僕は茨城だったので、サッカーをする時は必ず1面とれてたんですよね。でも東京に来て、みなさんものすごく工夫されているなぁと驚いてるんです。

宮坂:僕は少年サッカーの指導をする機会が今もあるのですが、少年サッカーもやっぱり小さいグランドで練習したり、指導者の方々も色々な工夫をされているので刺激を受けています。そんな経験があるので、できないじゃなくて狭い中でもやれることをやろうって感じです。
だから生徒もどうこう言わないですね。狭くてもボコボコでも、そこらの広場より広いからいいか、って(笑)。

――先生にとって、生徒はどんな子たちですか?

宮坂:やっぱり良い子たち、本当に性格が良い子が多いですね。ただ、性格が良いだけじゃなくて、さらにそれ+αの魅力を身に付けるとういか、磨いていってほしい。
最近サッカーでもストロングポイントのある選手、って言うじゃないですか。人間性も含めてそういうのを磨いてほしいなと。
彼らはサッカーノートも書いているんですが、こちらから言ったことじゃなくて、今、大学生で教えにきてくれている子が当時、「僕らは与えられるだけで何も変わっていない。先生が読んでくれるかは別として、個人で書きます」と。それで始めたことが今も受け継がれて続いているんです。

――練習準備も取り組む姿勢も本当に自分たちからの発信が目立つ、と。

宮坂:少し前までは、正直こちらから声をかけることが多かったんですけど、少しずつ僕もやり方を変えたし、彼らもどうしたらレベルアップできるかって自分たちで考えましたね。練習を見てても、あまりこちらから言わないというか、声をかけるにしても投げかけるようにして上手くやりとりできるように心がけています。

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