――自分で磨くそうですね。
 メジャーリーガーのイチロー 選手が、「自分の商売道具は自分で磨く」って言っているじゃないですか。それはすごく共感できるところで。専任のホペイロがいるチームでプレーしてこな かったというのもあるんですけど、その日履いたものを自分でメンテナンスするのは、当たり前かなって。

写真:清水知良

――スパイクの手入れを自分でする選手は、いまは少数派じゃないですか?
 それはだって、カラースパイクを履いている選手は、何色の靴墨で磨けばいいねんって感じじゃないですか?(笑) パラメ(ヒコ)は黒の靴墨でいいですから。皮がちょっと剥げてきても、塗ればまたきれいになるし。それでまた、味が出るし。  

――使うほどに味が出るのが、天然皮革のいいところですよねえ。
 それはもう、間違いないですよね。磨くのが楽しいですよ。

――スパイクでゲン担ぎをするFWもいると聞きます。点を取れているうちは変えないとか、何試合か取れなかったら変える、とか。
 そこはあまり、求めてないですね。感覚的にそろそろ変えようかな、というぐらいかなあ。「このスパイクで点を取れないから変えよう」じゃなくて、むしろ僕は「取れてないなら取れるまでこれでやろう」と思います。

――メモリアルなゴールを決めたスパイクは、大切に保存していたり?
 いえ、まったく。チャリティーに出したりしますし。メモリアルなスパイクとしては、ガンバ大阪でプレーしていた2009年元旦の天皇杯決勝で使ったものが……。

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