野球部など他の部活の生徒も集まった(写真=多田哲平)

 ハーフタイムにどしゃぶりの雨が降っても、後半に2点を奪われ1点差となっても、最後まで応援の声は止むことなかった。時には野球部が音頭を取るなど、まさに全校が一丸となって、ピッチを懸命に走る選手にもう一歩前に出る力をもたらしていた。その結果、旭川実は3-2で見事に勝利を収め北海道勢3校のうち唯一のベスト16入りを決めた。

 サッカー部キャプテンのDF庄子羽琉(3年)は「メンバーに入っていない人も応援してくれていたし、全校応援やOBの方たちも来てくれた。後半の苦しい時間も応援の声が僕らに響いて『チームのために走ろう』という原動力になりました」と明かし、「雨のなかずっと見てくれて本当に感謝しています」と話した。

 また「面白いでしょ、アイツら」と言うのは富居監督。「サッカー部だけじゃなくて野球部の応援歌も入っていて、一緒になっちゃっていましたよね。でも、これがこの学校の良さかなと。やっぱり前半に勢いでいけたのは、応援の力が大きかったなと思ってます」と続ける。

 この大応援団が初戦突破の一因になったのは間違いない。地元開催の大会で旭川実にかかる期待はいやが上にも膨らむ。「まだ1試合が終わってホッとしているところ。地元開催で出られて良かったし、1つ勝てて良かった」と試合直後に安堵の表情を浮かべた富居監督だが、「ただこうやってみんなが応援してくれるのであれば、また1つ、2つ勝っていきたい」とさらなる躍進を期した。

(文・写真=多田哲平)

▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
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