都立文京1点リードで迎えた後半、主導権は再び中大附に傾く。
 38分、MF竹内涼のFKに、この試合幾度となくセットプレーからシュートチャンスを迎え、存在感を放ったDF尾崎悠が飛び込むもこれは惜しくも合わず。それでもFW加藤智也を投入しさらに攻勢を掛けた42分、待ちに待った同点ゴールが生まれた。決めたのはFW松場勇人。中央からの絶妙なスルーパスに反応し、DFラインの背後を突くと最後はGKとの1対1を落ち着いて制しゴールに流し込んだ。

 その後も中大附の攻勢は続く。
 49分には右サイドを駆け上がったFW松場勇人のクロスにFW加藤智也がシュート。しかしこの決定機には、都立文京GK佐藤昭斗が立ちはだかり、至近距離からの難しいシュートに抜群のシュートストップで応えて見せた。

 後半もウォーターブレークを過ぎ、その後は互いにラストパス、あるいはシュートにおいて精度を欠く場面が目立つ。均衡が破れたのは63分だった。チャンスを迎えたのは中大附。ゴール前混戦から最後はFW松場勇人が右サイドを抜け出し豪快に蹴り込んで逆転弾。背番号9を背負う男のこの日2ゴール目で中大附が試合をひっくり返す。

 しかし、このまま終わらないのがこの試合のシーソーゲームたる所以。66分、今度は都立文京に先制点を導いたMF平井昇太がこの試合2ゴール目となる同点ゴールを叩き出す。右サイドで得たスローインからゴール前に流れたところ、いち早く飛び込み殊勲の一撃。逆転を許し、敗戦ムードが漂うチームの窮地を救う活躍となった。

 延長戦が設けられていないこの試合は、2対2のまま即PK戦へと突入。緊張感が包む最終決着、輝いたのは再三の好セーブを披露した都立文京GK佐藤昭斗。中大附の2人目、4人目のキックをセーブし、迎えた5人目のシュートも見事に弾き出す、まさに独壇場の活躍でチームの勝利に貢献した。

 灼熱の70分間、そしてPK戦をチーム一枚岩となり戦いきった都立文京中大附に粘り勝ち、2回戦進出を果たしている。

(取材・文=金子 侑史)

▽大会日程・結果
2015年 第94回全国高校サッカー選手権東京一次予選