AC長野パルセイロU-18 vs 松本第一(写真=田中紘夢)

 2-2でハーフタイムを迎え、AC長野U18の黒岩は「ウノさん(宇野沢祐次監督)から『2-2ではなくて、また0-0という気持ちで入ろう』と言われた」と明かす。55分には松本第一のDF輕部武志に逆転弾を決められたが、再び気持ちを切り替えて「すぐに点を取りに行った」(黒岩)。4分後の59分、黒岩が右サイドで相手の股を抜いてクロスを上げると、西村将が押し込んで同点。さらに72分、今度は左サイドからの西村将のクロスを黒岩が合わせ、4-3と再び勝ち越した。

 だが、このままでは終わらない。わずか5分後の77分、松本第一は輕部のクロスをFW西村悠が左足でそらし、またも同点に追いつく。「失点した後もそうだし、点を取った後も変な流れになってしまった」とAC長野U18の小西。以降は一進一退の攻防が続き、このまま同点に終わるかと思われたが、予期せぬ形で終止符が打たれる。後半アディショナルタイム、小西が右足で高弾道のアーリークロスを上げると、ボールはGK小島力の頭上を超えて左サイドネットに突き刺さった。

 「GKがやりづらいかと思って高いボールを狙ったが、ゴールに飛ばそうとは考えていなかった」と小西。これが決勝弾となって、5-4で乱打戦を制した。

 自身は昨季、トップチームの練習試合に参加。兄の小西陽向と同じ舞台に立ったが、「全然通用しなかった」と振り返る。それを踏まえ、3年生となった今季は「こういうところからいつも意識してやるようにしている」と身を引き締めている。

 1得点2アシストの3年生・黒岩も、同じく練習試合に参加した身として「プロを目指しているので、もっとやらなければいけない」と語気を強める。そういった各々の覚悟が現れたかのような、気迫のこもった一戦だった。

 (文・写真=田中紘夢)