「特に前半は風もあって、セットプレーなど相手の強いところ出させてしまった。そこは警戒するように話していたのに残念。収穫は先制されても追いついた点ですが、まだまだですね」

　試合後、勝利した原田監督は勝利の喜びよりも反省点を口にした。そこには悲願のプレミア昇格のためにも、これ以上は勝ち点を落とせないという覚悟が感じられた。延期となっているリーグ２試合が10月に予定されていることから「次は上位との試合なのできっちり勝って、10月に首位を取れるようにしたい」と語る原田監督の目はさらなる高みを見ているようだった。

　一方、「リードされても前半の内に追いつけたのは良かった。だが後半は何をやるのかハッキリせずにやられてしまった。後半に風下だったとかは言い訳にならない」と主将の平山零音が語った長崎総科大附だが、春先の故障者続きだった時期からは大きくチーム力を向上させていた。タイトさ・プレス・強度・走力といった戦う原点は十分な力を感じさせた。

　夏前のミーティングで「髪を伸ばしたい者は自由にして良い」としてサッカー部全員が丸刈りという伝統は終わったが、選手権予選前にキッチリ仕上げてくるあたり強者の伝統はしっかり受け継がれているようだ。

　「目指すレベルのまだ半分。ここからまだまだ上げていきますよ」長崎総科大附を率いる定方敏和監督はそう語り、来月から始まる選手権県予選へと目を向けた。

(文・写真＝藤原裕久)