矢板中央 vs 高川学園(写真=森田将義)

 互いに見せ場はありながら、ゴールが遠い展開が続くと、飲水タイムでベンチに下がった瞬間に雷が鳴ったため、試合は一時中断。以降も断続的に雷雨が続いたため、試合再開は3時間近く経った13時半まで待たなければいけなかった。再開後はコンディション、集中力ともにすんなり試合に入って行くのは簡単ではない。だが、「悪い状況でも自分たちの良さがなぜ出るかというと、メンタリティ的な土台が凄く高いから。アップの時も全員で声を出してやるのも今年から取り入れた。そういう(活気のある)選手が多いので、難しい状況下でも入りがスムーズに行けた」(井上)。再開直後にCKを獲得すると、後半終了間際には左CKをDF13清水陽(3年)がヘッド。こぼれ球を梶谷が狙うなど、良い流れのまま70分を終えた。

 迎えたPK戦では矢板中央の守護神、GK1大渕咲人(3年)が活躍。1人目のキッカーは読みを的中させてキックをストップ。対する高川学園も5本目をGK17三宅亮壽(2年)が止めて、サドンデス方式の延長戦へと入った。互いにここでも譲らず、迎えた10本目。大渕の読みは外れたが、ど真ん中に残した足で止めて勝敗の行方に決着をつけた。

 去年のインターハイも力強く勝ち上がった矢板中央だったが、準々決勝で優勝した前橋育英(群馬)に敗退。「自分たちの新チームが始まって掲げたのが、選手権での日本一とインターハイのベスト8以上」(井上)という矢板中央にとっては、次が正念場。勝って4強に進めば、インターハイのチーム最高成績を上書きできるチャンスだ。「まず準々決勝を勝って、明後日もう1勝して矢板中央の歴史を塗り替えたい」(井上)、「選手たちには失う物はないから、とにかく全力で戦おうとだけ言っている。ハードワークと最後まで諦めない、全員で戦う姿勢を出して準々決勝戦いたいなと思います」(高橋監督)。そう声を揃えた通り、矢板中央は次も勝利しか見えていない。

(文・写真=森田将義)

▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)
令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)