近大附は無念の準決勝敗退(写真=会田健司)

 後半に入ると、徐々に東海大仰星が前への圧力を強めていく。55分には左サイドを崩して折り返しをMF19中山蓮(3年)が左足で狙うと、これがポストを直撃。押し込まれ始めた近大附は58分に今大会絶好調のMF11高畑宗希(2年)を投入し勝負に出る。

 しかしスコアを動かしたのは東海大仰星。60分、DFラインからのロングボールをFW9水永直太朗が頭で逸らし、これをMF7中本昇が収めると、持ち運んでスルーパス。「(中本が)引き付けてくれたので、あとは前に走り出して決めるだけ」と絶妙なタイミングで中央を抜け出したMF11小林旺誠が落ち着いてゴール左に流し込んだ。

 先制を許した近大附はロングスローが武器のMF12前田義春(3年)を投入し、同点ゴールを狙い東海大仰星を押し込んでいく。それでも「ここまで最後のところで失点してしまうのが自分たちの弱さだったので、今日は1点差でしたし、最後まで身体を張って守り切ることを意識していました」(GK1森本真幸)と高い集中を保ち続けた東海大仰星DF陣を最後まで崩すことが出来ず。

 試合はそのまま1-0で終了し、東海大仰星が決勝に進出した。

 東海大仰星は後半アディショナルタイムにDF松村瞭(3年)が接触プレーで負傷退場。そのため、勝利した東海大仰星の選手たちに笑顔はなく、試合終了と同時にピッチ脇で起き上がれないままでいた村松に駆け寄った。「3年間仲間と一緒にやってきた信頼と結束があって、松村はチームの軸としてやってくれていたし、あいつに助けられてきたところもあるので、"勝ったぞ!"って伝えにいきました」と森本が話したように、スタメン11人全員が3年生ということもあり、その絆で近大附の猛攻を凌いだ。

 チームを率いる中務雅之監督は「タフなゲームをなんとか最後まで粘り強く戦ってくれた。今回は中一日で疲労感のある中での戦いでしたが、また土曜日に向けて生徒の心も整えながら良い準備をしたい」と5年ぶりの舞台を見据えた。

 一方、相手の倍のシュート数を記録しながら、惜しくも敗れた近大附の寺師悠斗監督は「悔しいですね。インターハイの準決勝の時よりも慌てずに、準備してきたことをしっかり最後まで冷静に戦ってやってくれていました。色んなプランを用意してやっていたが、最後までこじ開けられなかったのは自分の指導者としての力不足。選手たちは本当によくやってくれていたので、自分の力の無さを感じる一日でした」と悔しさを滲ませながら、選手たちには感謝のコメントを残した。

 7年ぶりの全国に王手をかけた東海大仰星は11日に同スタジアムで履正社と対戦する。

(文・写真=会田健司)

▽第102回全国高校サッカー選手権大阪予選
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