ベンチから指示や鼓舞の声を送ったGK武田輝(写真=佐藤亮太)

 ただやはり最後は個人技がモノをいう。

 先制点をあげたMF横井はサイドの深い位置でボールを受け、クロスをあげようとしたら、あげられないと判断。中に切り込んでシュートを打つ選択肢に変えたことが功を奏した。「相手のリフレクションはあったが、決まってよかった。運が良かった」と振り返った。2点目、3点目も守備のスキを突いた得点。個人技とともに連係も良かった。

 それでも市立浦和にピンチはあった。0‐0で迎えた前半26分頃、カウンターから川越FW9菅原天馬のシュートはポスト根元に直撃。これを決められていたら結果は違ったものになっていた。

 市立浦和がゼロで抑えられたのは、ベンチからの声にあった。声の主はGK22武田輝(ひかる)。これはGKの性分なのか、武田はベンチから守備への細かい指示、そして鼓舞の声を出し続け、チームを支えた。

 「自分がチームに求められていることだと思い、ずっと続けてきた。このチームはおとなしい選手が多いので、少しでもテンションあげてやれれば」とGK武田。

 これに大野監督は「(武田は)周りを盛り上げられる選手。この学校にはあまりいないタイプ」と評している。

 今回、ケガをしたチームメイトに代わってのベンチ入りだったGK武田。「きょう、100%のベストゲームとはいえないが、次が山場。1週間、準備して、自分も頑張って出られるように頑張りたい」と前を見据えた。

 武田の気持ちのこもった声は実際のピッチで必ず発揮され、市立浦和を勝利に導く、そう思える試合だった。

(文・写真=佐藤亮太)

▽第102回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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