そして、残された時間はアディショナルタイムの4分のみ。誰もが昌平の敗退を覚悟した時だった。70+2分にロングボールをゴール前に放り込むと松本を経由し、PA内の山下へ。ここからゴール前にスルーパスを送ると、僅かなスペースに走り込んだ本間が体制を崩しながらも同点弾。土壇場で試合を振り出した昌平は勝負をPK戦へと持ち込んだ。

 迎えたPK戦は3本目まで互いに全てを決め切ったが、4本目に先攻の前橋商・DF風間朝陽のキックを昌平・GK緑川がストップ。続く前橋商の5人目・MF金枝晃平のシュートは無情にもバーを越えて勝負あり。「結構、タイミングは向こうの雰囲気だったのですが、飲まれないように自分なりに試行錯誤して相手にプレッシャーを与えられるように努力をした」という、2年生守護神の活躍で昌平が初出場ながら8強入りを決めた。

(文・写真 松尾祐希)