関東一イレブン(写真=矢島公彦)

 一方の関東一は有力校を次々に撃破して初の4強入りを掴んだ。2回戦でチェイス・アンリ擁する尚志とスコアレスに終わりながらもPK戦で勝利。続く矢板中央との3回戦では終了間際にFW本間凜(3年)の得点で勝利を掴むと、静岡学園との準々決勝でも土壇場でFW坂井航太(3年)が同点ゴールを決めてPK戦を制した。

 今大会の激戦区と言われていたBブロックを勝ち上がった関東一。今年のチームは春先から苦しみ、4月の関東大会予選では2回戦敗退。続くインターハイ予選も2回戦で敗れた。それでも夏以降にキャプテン・CB池田健人(3年)の発案で全部員にアンケートを取って忌憚のない意見を求めるなど、団結力を高める作業に注力して最後の冬に向かった。その結果、選手権予選では粘り強く戦い、決勝では夏のインターハイ予選で敗れていた大成を2-0で下してリベンジに成功。その後のプリンスリーグ関東1部参入戦では敗れてしまったが、今大会は開幕戦で中津東を6-0で撃破して勢いに乗ると、一戦毎に成長して初の4強入りを決めた。準決勝の相手は大津。再び前評判が高い強豪校との対戦になり、劣勢が予想される。準々決勝と同様に池田、笠島を軸にタフに守りながら、少ないチャンスをFW本間凜(2年)、MF肥田野蓮治(3年)らが生かす戦いになるのは間違いない。また、0-0でPK 戦に持ち込めれば、GK笠島李月が控えている。2度あった今大会のPK戦ではいずれもシュートを止めており、勝負強い守護神の存在は心強い。

 どちらかが勝利を掴み、節目の100回大会で新たな歴史を作るのか。初の決勝進出を目指す両チームの戦いから目が離せない。

(文=松尾祐希)

▽第100回全国高校サッカー選手権
第100回全国高校サッカー選手権