
我孫子二階堂サッカー部
高校サッカー界では言わずと知れた激戦区・千葉。そんな千葉に我孫子二階堂という高校がある。お世辞にも強豪校とは言えない“普通”の高校だ。そんな我孫子二階堂で、昨年からサッカー部の顧問をしているのが寺野康宣さん。中学から大学までとサッカー部に所属していた寺野さんは、顧問として試合に携わる中で、生徒たちに「サッカーと生涯的にかかわってほしい」という思いを抱くようになり、新たな取り組みを始めた。今回はそんな我孫子二階堂を訪れ、顧問の寺野さんに話を聞いた。
――まず我孫子二階堂ではどういった取り組みをされているのでしょうか?
現状として高校生がやっている部活動というのは、顧問の先生、コーチ、生徒がいるという関係(つまりピラミット型)だと思います。私も高校サッカーをやっていて、35年ぶりくらいに今年から現場に復帰したんですが、昔とはかなり変わっているんだろうなと思っていました。ところが試合に行くと大声で先生が生徒を怒鳴って叱っている。昔と比べるともちろん少なくなっているとは思いますが、そういう「主従関係」のようなものが見られたんです。
もちろんリーグ戦でトップを狙ったり、大会で優勝を目指したりすることは目的ではありますが、そういう部分以外にも、大学にいってサッカーをしたり、社会人になってもサッカーを続けたりなど、生涯にわたってできるスポーツとしてサッカーに取り組んでいけるよう、一緒に考えながら導いていけたらなというのが本校の方針です。
この「一緒に考えながら」という方針は、戦術的にも同じです。私が「ああしなさい、こうしなさい」というやり方はしていません。基本的には生徒たち自身に戦術を作ってもらってゲームを作っていく。それを振り返った時に、「ここをこうしてみたら」などといったアドバイスをするという感じです。アドバイスをしない時もあります。それは自らが振り返りをしなければ、何も考えないサッカーをしていることになります。
一般的な顧問の先生からすると「それってどうなの?」などと思われるかもしれませんが、個人としては生徒に対して押し付けるようなサッカーではなくて、「自分たちが考えたサッカーを、その試合でどう展開していくかやっていきなさい」という考え方で指導しています。サッカーは考えていくスポーツです。自らが状況を考え、最大である方向を見出す力がないと、本来としてのサッカーの楽しみがなくなると思います。