富山第一が熱戦を制す(写真=矢島公彦)
思惑通りのゲームだった。
1月3日、高校サッカー選手権の3回戦が首都圏で行なわれ、等々力陸上競技場の第1試合では富山第一が神村学園と対戦した。
富山一は序盤から相手にイニシアチブを握られる。開始5分には左クロスのこぼれ球に反応したFW福田師王(1年)にネットを揺らされたものの、これはオフサイドの判定でことなきを得る。「どうやって守備をするかを考えていくうちに、難しい試合になった」と大塚一朗監督が振り返った通り、前半は相手の流動的なパス回しに翻弄された。だが、時間の経過とともにボールの取りどころがはっきりし、5-3-2の布陣で構築する守備ブロックが機能。チャレンジ&カバーも徹底し、常に複数人で対応していく。指揮官が「ボールを持たせたくなかった」という相手の司令塔・永吉飛翔(3年)に対しても素早く寄せ、簡単にボールを蹴らせなかった。キャプテンのCB孝井捺希(3年)を軸に守備でリズムを掴むと、自慢のアタッカー陣がゴールを脅かす場面を作る。万能型FW吉倉昇空(3年)もポストプレーや鋭いターンで決定機に絡み、カウンターの迫力も増した。
後半に入ってもボールを握る神村学園に対し、富山一は堅守速攻で迎え撃つ。ロングスローなども交えた多彩なセットプレーからゴールを脅かす場面も増え、徐々にゴールへの予感が漂っていく。61分にはトリッキーなFKから決定機を得る。9人が集まって打ち合わせをすると、2度のフェイクを入れてボールをゴール前へ供給。惜しくも女川陽生(3年)に合わなかったが、続く69分に右CKを得ると、左WB富田脩平(3年)が蹴ったボールはニアサイドへ。これが永吉のクリアミスを誘い、最後はMF福岡輝(3年)が押し込んで得意のセットプレーから先制点を奪った。
リード後は相手の反撃に遭い、MF大迫塁(1年)やFW福田師王(1年)などに危険な場面を作られた。それでも、GK平地巧汰(3年)を中心に我慢強く守り、ベスト8進出が決定。5日の準々決勝で矢板中央と対戦する。
▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権