佐藤監督の起用に応えた日大藤沢GK上村倫士
神奈川県屈指の強豪校・日大藤沢。2019年に続き、2021年の関東高校サッカー大会神奈川予選を制し、神奈川1位として関東大会への出場を決めた同校サッカー部・佐藤輝勝監督に試合後インタビュー。決勝戦の振り返りや関東大会への意気込みなどを伺った。
ーー決勝戦を振り返っていかがだったでしょうか?
ここまで3勝3敗1引き分けと対戦成績が五分のチームと試合をするということで、相手をリスペクトしていますけれども、リスペクトをし過ぎないように、自分たちのサッカーをやろうということを選手たちには話していました。ただ、さすがにこの雨と風でゲームプランが少し崩れてしまいましたけれど、それでも自分たちらしく最後まで粘り強く試合をすることができましたし、ウチとしては昨日勝ったからといって現状維持ではなくベストメンバーを選んで戦うという選択をして勝つこともできました。今日PKを止めてくれた上村(倫士)もそうですし、アッパ(勇輝)がいないなら、それをチャンスだと捉える選手がウチのチームにはいます。代わりに入る選手に対してしっかりとコミュニケーションを取って、「選手が前向きになったらプレーをさせる」ということをやってきて、その結果が今日に繋がったのかなと思います。
森重(陽介)にしても、昨日はFWで今日はDFで試合をさせたんですけれども、なぜ今日はDFなのかということをしっかりと話して説明をしました。フォワードもセンターバックも両方できたらそれは凄いことじゃないかということも話して理解してもらっています。
例えばメンバー決定に関しても、今では選手からも提案が出ますし、お互いにコミュニケーションを取れていることが、今日のようなゲームを最後までやり切れた要因かなと思っています。
ーー粘り強く守り延長まで行っても無失点でしたが特に評価できる点点はどのようなところでしょうか?
やはり桐光学園さんはパワフルなプレイヤーも多いですし一瞬のミスも逃してくれないことはわかっていました。いいチームは球際やプレッシャーをかけて自由を奪ってきます。そういうところを消してくるので、前半戻ってきた時にハーフタイムで「自分たちの剥がしはできていないよね、だからこそもう1回チャレンジしよう」ということを話しました。後半は風上だったので自分たちもフィードが多くなってしまいましたけれど、ただそれは今日のピッチコンディションを考え、現場の中で選手たち自身がしっかりと選択してくれたことなので、その点に関しては良かったのかなと思います。
ーー雨や風でプランが少し変わってしまったということですが事前にどう言うことをやろうと考えていて、それをどう修正していったのでしょうか?
自分たちは「しっかり止めて蹴る剥がす」ということをやってきたので、怖がらずに動かして行きたかったんですけれども、滑りやすいピッチと風が計算しづらかったこともあって、やや大味なゲームになってしまいました。随所では自分たちのサッカーが出せましたけれど、蹴り合いの大味なゲームになるということは試合をやり始めて感じたことなので、そこを早く把握して、無理してやるのではなく今やれることをしっかりやり出したというところですね。
ただヘディングの競り合いも負けてなかったと思いますし、セカンドも拾ってくれたからこそ後半は押し込めたし、チャンスはあったのかなと感じています。本当はもっと後ろからも崩したかったですし中からも崩したかったんですけれども、 桐光学園さんも素晴らしいチームでしたので、なかなかチャンスをもらえませんでした。ただ少ないチャンスを1つ2つゴール前まで持って行けたことは良かったのかなと。そこから先は、全国の強いチームとやるときは、ワンチャンスをものにしていくことが大事だなと感じました。
トレーニングの中でも「こういうこともあるよね」と話してピッチに水を撒いて滑りやすくしたり 、色々なことを想定し、それを選手に説明してプレーをやってきた日頃の練習の成果として、どんな状況にも対応できるポテンシャルが身についていっているのかなと思います。選手自身も厳しいコンディションや苦しいゲームの中でも、勝利ということで山を乗り越えることができたのは自信にもなるのでは無いかなと思います。
準決勝ではFWとして、決勝ではCBとして出場した日大藤沢・森重陽介
ーー今までPK戦というと、あまりいいイメージはなかったと思うのですが、決勝でもPK戦になりました。そのあたりはどういう思いがありましたでしょうか?
植木(颯)を1番目に蹴らせたのはメッセージを込めた部分もありました。PKでの悔しい思いは植木自身も持っていたと思います。2年前の全国大会選手権の仙台育英戦でも外して、去年の選手権の神奈川予選の準決勝でも桐光学園戦でPK外して負けて。それでも彼なりにしっかりと練習をしていたのは見ていたので1番目に蹴らせました。
いい流れでPKまで行けたので、そこはゲームが活きたことが大きかったと思います。PK戦でも心理的に前向きに入れた要因かなと思いますし、前日までGK三田(晴貴)がいいセーブもしていたのですが、上村も良い準備をしていたので、そこはタイミングを逃したくなかったので、今日スタメンで起用しました。上村がしっかり止めてくれて本当に良かったと思います。 僕らは選手の調子をちゃんと見てあげて、どのタイミングで彼らの努力を認めて使ってあげられるかということしかできないので、起用に応えてくれて本当にありがたかったですね。上村を使えたということもPK戦で勝てた1つの要因かもしれません。
ーー昨日森重はセンターフォワードで試合に出場していて、今日はセンターバックで出場していましたが、それはアッパ(勇輝)の欠場ということもあっての起用でしょうか?
そうですね。元々ディフェンダーで入ってきたのですが、性格的にはフォワードぽいところがあるんですけれども、でもディフェンスも彼なりに1年の時から先輩に色々と教えてもらい守備の楽しさも覚えつつ、今年はフォワードもチャレンジして両方やっていたので、そこは僕自身も久しぶりに悩みました。アッパがいないのを前向きに捉えて、「どうしよう?」ではなく「能力の高い代わりの選手はいる」 と考えて、森重を後ろで起用しました。決勝もここまでしっかりやってくれると思っていませんでしたが。
本当に両方できる選手で、日本人のスケール感からはかけ離れていると思っているので、努力して突き抜けて頑張ってほしいと思っています。
ーー関東大会に神奈川1位として出場するわけですけれども意気込みをお願いします
神奈川の素晴らしいチームと試合をしているので、関東の強豪チームにもある程度は対応できると思います。今回磨いた対応力と今まで磨いてきた自分たちの「崩し切る」という部分を本大会までにしっかり磨いて、小野寺健也や蛭田悠弥がいた2015年以来、関東大会では優勝していませんので、もう一度関東大会で優勝したいと思っています。
▽令和3年度関東高校サッカー大会神奈川予選
令和3年度関東高校サッカー大会神奈川予選