秀岳館イレブン(写真=松尾祐希)
秀岳館がインターハイ初出場に王手を掛けた。
6月1日に行われたインターハイ熊本県予選準決勝で秀岳館は熊本学園大付と対戦。0-0で迎えた試合終了間際の延長後半9分に途中出場のMF石川遼(3年)が決勝点を決め、大津が待つ決勝に駒を進めた。
2014年に冬の高校サッカー選手権へ初出場してから早7年。大津、ルーテル学院とともに熊本の高校サッカー界を牽引してきた強豪校が、夏の全国まであと1勝とした。昨年度は熊本でプレーするDFレオナルド・ケンタ・ホサカ・カルロス、MFターレス・プロコピオ・カストロ・デ・パウラらを擁し、2月の九州新人戦ではベスト8に進出。個の力で戦える選手を多く揃え、段原一詞監督も「去年はタレントがいた。アスリート能力は去年の方が上。プロに行った選手も含めて、能力が高い」と期待をしていた。しかし、冬の選手権は準々決勝で鎮西に1-2で敗北。負傷を抱えていたターレスのコンディションが整わず、予想以上に早いタイミングで終戦となった。
迎えた今季。新チームは昨年度のチームと比べ、タレントが揃っているわけではない。しかし、チームワークやグループで崩す力は例年以上。指揮官が「みんなでやるしかない」と言うように、選手たちも自分たちの力を理解した上で組織的な戦い方に取り組んできた。
とりわけ、力を入れてきたのが攻撃の部分だ。基本布陣は4-3-3だが、ポジションはあってないに等しい。例えば、ブラジル人の右SBペドロ・エンリケ(3年)は左足のキックと確かな戦術眼でゲームを作り、場合によっては中に入ってボールを捌く。MF山田有斗(2年)や深川碧斗(3年)も状況に応じて、立ち位置を変えることが可能。その特徴は熊本学園大付戦でも発揮し、テンポの良いパスワークで相手を崩す場面は一度や二度ではなかった。
「エリアによって引き込む動きをしないといけない。相手が後ろに重心を置いているので、引き出さないと攻撃ができなかった。そうすると、ペドロや深川がギャップで受ければ、相手は出てこないといけない。なので、その狙いは持っていました」(段原監督)
あとはいかに決定力を高められるか。左ウイングの位置から身体の強さとテクニックを利したドリブル突破を見せるブラジル人FWカウアン・ライア・リマや、キープ力が売りのストライカー古賀渓太郎(3年)がゴールを奪えれば、自ずと勝利は見えてくる。2日に行われる決勝の相手は大津。U-18高円宮杯プレミアリーグWESTに参戦する強豪校に対し、秀岳館がどのような戦いを見せるのか注目だ。
(文・写真=松尾祐希)
▽令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選
令和3年度全国高校サッカーインターハイ(総体)熊本予選