選手権大阪大会決勝で圧巻のパフォーマンスを披露した阪南大高FW鈴木章斗
選手権大阪大会決勝で履正社を3-0で破り6年ぶり2度目の優勝を飾った阪南大高。その阪南大高を優勝に導いたのがJ1湘南ベルマーレに加入が内定しているエースのFW鈴木章斗だ。
試合開始からハイプレスで履正社に襲い掛かった阪南大高は4分にPKを獲得。これを鈴木が助走でフェイントをいれながらゴール左に流し込む。10分にもMF稲垣大燿のゴールで2点リードとした阪南大高は更に27分、相手GKがクリアしたボールを素早く前線まで届けると、バイタルエリアでボールを受けた鈴木がカットインして右足を振り抜く。カターレ富山内定の履正社GK平尾駿輝も懸命に手を伸ばしたが鈴木のシュートはゴールネットに突き刺さった。
ゴールを決めた鈴木はコーナーフラッグの方向へ走り出し、ユニフォームのエンブレムを掴みながら喜びを爆発させた。今年のプリンスリーグ関西でもゴールを量産する鈴木だが、インターハイの全国大会では自らの力を発揮できないまま3回戦敗退。敗れた神村学園戦では試合前のウォーミングアップで怪我をしてしまい、全力で試合に臨むことが出来なかった。
それもあってか、その後のプリンスリーグではゴールを決めても"決めて当然"とばかりに淡々と自陣に戻っていた鈴木。濱田豪監督も「一喜一憂するな」と選手たちに話していたという。しかしこの日は「応援してくださっている方が沢山いたのでそこに向けて"決めたぞ!"って感じで」とゴールを決めた後に"この舞台にとっておいた感情"を爆発させた。
「ずっとカットインを練習でやってきて、こういう舞台で練習の成果が出た」と、この試合自身2点目となったカットインシュートのシーンを振り返った鈴木。チームメイトは「章斗は誰よりも早く練習に来て、全体練習の後は照明もなくて真っ暗なのにそれでも練習している」と言うように誰よりも努力した事が実を結んだゴールだった。
鈴木はG大阪Jrユース時代には中盤の控え選手でユースに上がれず、高校に入ると身長も伸び、2年からエースの座を掴むと、フィジカル面も向上した今年は手の付けられない選手に成長を遂げた。そして阪南大高から初となる、高卒プロ入り内定を勝ち取り、選手権大阪大会決勝の舞台として吹田スタジアムのピッチに初めてたった。「(ガンバの試合は)上からしか観たことがなかったので、ピッチに立てて嬉しかった」とガンバ大阪の本拠地のピッチに立ちゴールも決めた。
そして「プロに入ったらガンバさんと対戦する時にまたこのピッチに立って、ゴールを決めて倒したい」と古巣に成長した姿を見せたいと決意を語った鈴木。「夏に個人としてもチームとしても悔しい思いをしているので、それをリベンジ出来る時が来たので、もっともっと上に行けるように頑張りたい」と、まずは高校最後の選手権で活躍して、全国のサッカーファンや湘南のファンサポータに向けても自分のプレーを見せたいところだ。
「チームの目標はベスト8です。個人的には全国制覇をしたいですが、そんなに簡単に取れるものじゃないと思う」と、足元をしっかり見たコメントをした鈴木だが、「青森山田とやってみたい」とインターハイ王者との対戦を熱望した。
そして15日、第100回全国高校サッカー選手権の組み合わせ抽選会にキャプテンとしてリモートで参加した鈴木がクジを引き、対戦を熱望した青森山田とは3回戦で当たるかもしれない山に入った。FW鈴木章斗がこの選手権全国大会でゴールを量産できれば対戦も実現するかもしれない。先ずは12月29日に行われる1回戦で福井県代表・丸岡に挑む。
(文・写真=会田健司)
▽第100回全国高校サッカー選手権大阪予選
第100回全国高校サッカー選手権大阪予選