奈良育英戦で5ゴールを叩き込んだ阪南大高FW鈴木章斗

 12月31日、第100回全国高校サッカー選手権の2回戦が行われ、味の素フィールド西が丘での第2試合、奈良育英(奈良)vs阪南大高(大阪)は、湘南内定FW鈴木章斗が一人で5ゴールを叩き込んだ阪南大高が8-0で奈良育英を下した。

 「スピードがある訳でもないし、そこまで高さもある訳ではない。まだまだ伸びしろを持っている選手なので、こういう大会を通して成長してもらいたいと思っています」と阪南大高の濱田豪監督はエースについてコメント。鈴木一人に5ゴールを献上してしまった奈良育英の梶村卓監督は「想像以上でした」と、鈴木のその活躍ぶりを評し賛辞を送った。

 来季、湘南ベルマーレ加入内定FWの圧巻のゴールショーだった。まずは「カウンターは自分の中で狙っていたので、シュートは決していいシュートではなかったんですけど、枠に入れることを意識して打ったら入ったので良かったです」と28分にドリブルで運んでミドルシュートを決めると、「ファーがずっとフリーだったので、何回も味方に『クロスを上げてくれ!』と言っていました。いいボールではなかったんですけど、いい感じに抑えてシュート出来た」と自画自賛したボレーシュートで38分に2点目をゲット。

 そして40+3分には「相手のCBの子が左利きだったので、それを意識して左足を消しに行った結果自分に当たって、いい感じでボールを奪えたので、何点も取るっていう自分の目標もあったのでゴールしか見ずにシュートを打ちました」と相手DFからボールを奪って左足でゴールを決めて3点目。なんとたったの15分間でハットトリックを達成してしまった。

 後半に入っても鈴木の勢いは止まらず、45分にスルーパスで相棒FW石川己純のゴールをお膳立てすると、60分にはDFから消える動きから、クロスにファーで軽く合わせて4点目。そして64分には左サイドからクロスが上がると、またしてもファーサイドで待っていた鈴木が、相手DFが被ったところを見逃さず冷静にトラップ。完璧にコントロールすると左足でゴールに流し込んだ。

 これで1回戦と合わせ鈴木のゴール数は6となり、得点王争いでもダントツのトップに立った。「目標にしている」大迫勇也(ヴィッセル神戸)の持つ選手権最多得点記録(10得点)にも届く勢いだが、次戦の相手はFC東京内定MF松木玖生を擁し、高校年代最強の呼び声高い青森山田だ。この難敵を倒さなければその記録を狙うのも難しくなる。

 鈴木は今年のプリンスリーグ関西でもゴールを量産し、興國の川崎F内定MF永長鷹虎と並び12ゴールで得点王に輝いている。しかしインターハイの全国大会では3回戦でFW福田師王擁する神村学園に敗れ、実力を発揮する前に大会を去った。

 「夏に個人としてもチームとしても悔しい思いをしているので、それをリベンジ出来る時が来たので、もっともっと上に行けるように頑張りたい」と選手権大阪大会優勝後にコメントしていた鈴木は「青森山田とやってみたい」と次戦の相手との対戦を熱望していた。遂にその機会に辿り着いた鈴木が、インターハイ王者を相手に自身の力を発揮する時が来たのだ。

 この試合後のインタビューで「相手はインターハイ王者なのでチャレンジャーとして挑みたいですし、自分が得点を何点も取れば、取られても勝てると思うので、自分が点を取って勝ちたいと思います」と青森山田から複数得点を取ると意気込んだ鈴木。

 絶対王者が挑戦者を跳ね除けるのか。FW鈴木章斗が得点王に向けて突き進むのか。駒沢陸上競技場で行われる1月2日の3回戦、青森山田vs阪南大高は今大会を占うカードになりそうだ。

 (文・写真=会田健司)

▽第100回全国高校サッカー選手権
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