サニックス杯大会MVPのMF福井太智(サガン鳥栖U-18)

 すでにユース年代の試合に出る選手ではない。試合を観ていた誰もがそう思ったのではないか。

 3月20日、サニックス杯ユースサッカー大会2022の決勝が行われ、サガン鳥栖U-18(佐賀)が予選リーグ4戦4勝のサンフレッチェ広島F.Cユース(広島)を6-1で退け優勝を果たした。大会MVPに選ばれたのは鳥栖U-18のMF福井太智だ。

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 福井はクラブ史上最年少の16歳7か月でルヴァンカップ出場を果たすと、昨年7月3日に行われたサンフレッチェ広島戦でJ1デビュー。2022年3月1日には17歳でプロ契約(A契約)。今年もすでにルヴァンカップに2試合出場している。

 田中智宗監督は決勝戦後「彼はA契約をしている選手なので、違いをみせるのが当たり前だと思っています。去年からフィジカル的なところやプレーの判断のスピードが本当に上がってきている。それでも"トップの試合で違いがみせられているか?"といったらそうではないと思いますので、ここで満足することなく高みを目指して欲しい」と福井を評価し、今後に期待するとコメントした。

 「昨年はSHでゴールを目指すところを求められていたんですが、今年はアンカーとして中央でチームを支えるところを求められている」と今大会はアンカーのポジションでゲームを作った福井。昨年まではゴールを目指し仕掛ける姿が目立ったが、今大会では長短のパスでビルドアップの中心となる役割を担った。

 その中でも目立ったのが福井の戦術眼の高さだ。ピッチ中央にどっしり構えながら、ダイレクトで叩く場面、相手をおびき寄せてからパスを散らす場面、サイドの裏に浮き球を通す場面。いつ何をすればいいのかを常にわかっていて無駄なことはしない。それでいてアタッキングサードではスルーパスやシュートというゴールに直結するプレーを選択。

トップチームに2種登録されている左からMF福井太智、MF楢原慶輝、MF坂井駿也(サガン鳥栖U-18)

 ボールを取られない技術とキックの精度を持ち合わせる選手は多いものの、この戦術眼こそが福井を"別格"と印象付けさせる要因だ。「チームで求められている事が変わったのでそれをやるだけ」と涼しい顔で話す福井だが、「戦術眼に関しては得意な部分ですし、誰にも負けちゃいけないところ」と自負。実際にそのレベルの高さは大会を通して際立っていた。

 「本来得意としているポジションはアンカー」とSHよりもアンカーを得意としている福井。それでも田中監督が「高みを目指して欲しい」と期待するところには、ゲームを組み立てながらもゴールやアシストという結果を残すという事も含まれるのだろう。本人も「アンカーのポジションからでもどんどん仕掛けて、もっとゴールを狙っていきたい」とその自身への期待を理解している。

 トップチームのキャンプにも参加した福井は「まだまだトップではできない事も多い」と話すが、長い期間トップチームで活動することで、強度やプレースピードの速さも確実に上がっている。「課題はあるんですが、出来る部分も沢山ありましたし手応えは結構あります」とトップチームでやっていけるという自信も感じられる。

 「今年はプレミアで3位以上。優勝できるなら優勝を目指しますし、少しでも上を目指して行きたいです。個人としてはプレミアに留まらずに、どんどんトップに絡んでいってJリーグで活躍したいと思っています」と今年の目標について話した福井。色々なポジションを経験し、そこで見つかった課題を克服してきた福井は、現状に満足することなく高みを目指す。プロの世界でも"別格"な選手となっていけるのか。年代別代表やトップチームでの活躍も期待したい。

 (文・写真=会田健司)

 【福井太智プロフィール】
所属チーム/サガン鳥栖U-18
学年/2年
身長/172cm
体重/67kg
生年月日/2004年7月15日
ポジション/MF.FW
中学時所属チーム/サガン鳥栖U-15
代表歴/U-18日本代表候補.U-17日本代表候補.U-16日本代表.U-15日本代表

▽サニックス杯ユースサッカー大会2022
サニックス杯ユースサッカー大会2022