開幕戦でハーフタイムに指示を出す初芝橋本の阪中義博監督
高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2022 関西2部の第2節、 開幕戦で神戸弘陵に敗れ黒星スタートの初芝橋本(和歌山)は東山(京都)と紀三井寺陸上競技場で対戦し、押し込まれた前半に先制を許したものの、終盤の84分にCKからFW直真輝のゴールで追い付き1-1の引き分けとなった。
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試合後、初芝橋本の阪中義博監督は「前半は攻められっぱなしで、早い段階でやられていたんですけど、それがたまたま入らなくて救われた感じでした。後半は向こうが技術的にも体力的にも落ちるやろうと思っていたので、可能性はあると思っていました。ただやっぱり前半あれだけ攻められて1失点で済んだのは僕としてはラッキーでした。ただ、そこを抑えられていたってところもありました。先週と今週はずっと守備の練習をしてきたので、要所要所でミスはありましたがそこは悪くなかったと思います」とゲームを振り返った。
確かに前半は防戦一方の展開となったが、その中でも初芝橋本の集中力は高く士気も落ちなかった。「CKのこぼれでも体をぶつけに行って、ちゃんと寄せられていたから相手のシュートが外れたところもあるし、相手に良い状況でシュートを打たせなかった」と阪中監督が言うように、最後の一歩まで諦めない姿勢が追加点を防ぐことに繋がった。
後半は東山の運動量が落ちたこともあり初芝橋本が攻め込む展開が続いた。しかしハーフタイムに「失点しているから点を取りに行くという事ではなく、まずは0に抑えよう」と指揮官が口にしたのには理由がある。昨年のプリンスでは点を取りに行って失点する事が多く、前節の開幕戦でも前半失点し、後半点を取りに行ったところで追加点を奪われていたからだ。
「取りに行って取られるのは止めよう!前半取られても後半取られないように」という意識は一見すると消極的に映るかもしれないが、体力面で自信のあるチームだからこそ、失点しなければチャンスは必ずやって来るという計算なのだ。実際この試合でも追加点を許さなかったことが勝ち点1に繋がった。
初芝橋本イレブン
「正直なところ技術的には彼ら(東山)との差はあるのでやられるのは仕方がない。でもそこから粘れるのがうちの良さで、そこでは負けない」と阪中監督が言うように、体力面で優勢に立った後半はほぼ一方的にゲームを支配した。
「今日でようやく我々のチーム。開幕戦は彼ら自身が浮ついていて60%。今日は100%自分たちの力を吐き出しました」と指揮官がコメントしたように、この試合では自分たちより上という認識のチームに対して「これ以上出せない!」というぐらい喰らいつく気持ちが前面に出たゲームが出来た。その一方、「彼らもロボットでもコンピューターでもなく生きている人間なので、浮き沈みがあると思うので」と言うように、どの試合でもこの戦いが出来るかが今後の課題になってきそうだ。
和歌山の3チームが同居する今年のプリンス関西2部。和歌山勢には絶対負けられないのと同時に、県勢から一歩抜け出すためには「優勝じゃなくて2番でもいいから上に上がるのが今年の目標」と1部復帰が絶対命題だ。この試合のように粘り強い戦いで勝ち点を積み上げていった先に1部昇格が見えてくる。
(文・写真=会田健司)
▽高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ2022 関西2部
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