それでも勝ち切ったところに履正社の強さがある。選手個人の能力も高く、FW古田和之介は縦に勝負を仕掛け、MF名願斗哉は内でも外でもチャンスを作りゴールも決めた。DF平井佑亮は空中戦で高さを発揮し、SB西坂斗和は持ち前のスピードで攻守に貢献。難しい試合の中でも、個人で局面を打開しねじ伏せられる強さもあった。

　その履正社がさらに上に行くには、全国大会にコンスタントに出ることが大事だと平野監督は話す。

　「毎年出ているチームは経験値が全然違う。そういう意味ではプレミアにいることも凄く大事だし、全国大会に出て行ってあの空気感を味わう事も凄く大事」

　毎年当たり前のように全国大会に出場し、プレミアリーグに居続けること。それがチームとしての経験値となり真の強豪と呼ばれるチームになるのだ。

　「ハードワークという言葉を無くしたい。それは当たり前でしょと。彼らが5年後を迎えた時はもっと速いテンポのサッカーにになっているだろうと思うので、その時にチェイシングが出来ない選手は話にならないので。行くのが当たり前で、行くことが出来る選手が行かない判断は出来るけど、行けないでは将来的に難しいですよね」

　「ハードワークという言葉をなくしたい」

　平野監督はハードワークを当たり前のこととし、それが出来ないと話にならないと話す。だからハードワークという言葉自体いらないのだ。

　選手たちの将来を見据え、彼らが日の丸を背負い世界で活躍するためにもハードルを高く設定する。平野監督のその厳しい目線こそが彼らを大きくし、チームを強くする。

　当たり前にハードワークをし、アグレッシブにゴールを目指す。全国大会での履正社の戦いぶりに注目だ。

(文・写真＝会田健司)