市立船橋を率いる波多秀吾監督(写真=多田哲平)

 セットプレーで2失点したものの、流れの中で崩れなかったのが結果的に勝ち切れた一因となったのは間違いない。プレスの強度は延長戦に入っても落ちず、終盤は気持ちが高まり集中力を増していた印象すらあった。

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 指揮官は言う。

 「向こうの前線の選手は力があったので、どうしても構えて後ろに重たくなってしまう場面はありました。でも『後ろで構えず、基本は前から取りに行くぞ、その姿勢は絶対に変えないでやろう』と、そういう話はしていました。もちろん最後のほうももっと前から奪いにいきたかったですけど、後ろがやられなかったのは大きかったです」

 4月から戦っているプレミアリーグEASTでは、5月までの7試合で1勝2分4敗で、12チーム中11位と、安定感を欠き、いまいち波の乗れない時期を過ごした。しかし、この県予選では不安定さはほとんどなく、むしろ名門のプライドと試合巧者ぶり見せつけた。

 この県予選制覇で得た自信がリーグ戦につながるはずだ。「攻撃のバリエーションを増やしたい」とさらなる課題を語る指揮官は「そしてプレミアにシフトしていきたい」と続けた。

 もっともこの優勝は、大目標である「全国制覇」のための、いわば通過点。2018年以来の出場となるインターハイの舞台こそが”本番”であり、それも選手の成長を加速させる糧となる。

 「久々のインターハイなので、一戦一戦大事に戦って、のちのち彼らの血となり肉となるような経験にしていきたいなと思っています」。そう言って波多監督は約1か月後の本大会(7月24日開幕)を見据えた。

(文・写真=多田哲平)

▽令和4年度全国高校サッカーインターハイ(総体)千葉予選
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