見事なアップセットの背景には積み上げてきた技術力がある(写真=多田哲平)

 流通経済大戦で濵田監督はベンチから『ポジションにつくな。ミニゲームのようにやれ』と指示を飛ばした。そこに中央学院のカラーが表われている。

 「何をやってもいい。ミニゲーム感覚でやれと。それがうちの色だから。注文を付けたのは『ボールに乗れ』くらい。結局誰もやりませんでしたけどね(笑)。でも、そうやって相手をおちょくるくらいの感覚でいいんです。だから僕も肩ひじ張らずに見ていましたよ。『本当に面白いな。やっぱり流経さんは強いな。でも、うちの子たちも上手いな』と、そんな感じで見ていました。子どもたちも真剣勝負で楽しそうにやっていましたね。ビビらず楽しくやれた結果がすべてじゃないかなと」

 いずれも準々決勝で敗退した関東大会予選インターハイ予選ではコロナ陽性者が複数人出たせいで思ったような結果は残せなかった。

 それでも指揮官は、今年のチームに好感触を抱いていたという。

 「代わりに出た2年生とか他の選手が逃げずに良い試合をしてくれていたので、今年のチームは全員揃ったら強いなと、僕の中では感じていました。そして今は前も後ろも非常にバランスの良いチームになった。キャプテンの大磯を中心に後ろがしっかりしていて、流れのなかから点を取られることはなかなかない。それに守備が良いというのは、前がボールを取られていない証拠でもある。ここ2、3試合でもまた上手くなったんじゃないですかね、非常に逞しくなったなと」

 強敵の牙城を崩した背景には、積み上げてきた技術力と、その努力に裏打ちされた自信がある。当然、このあとに続く戦いでもスタンスは変わらない。

 「僕は次のゲームについて考えますけど、子どもたちにはいつも通りのびのびやってくれたら何か面白いことが起きるんじゃないかなと。面白いこと、見せますよ。そして、楽しくやります」

 濱田監督は笑みを浮かべながら、そう意気込んだ。

(文・写真=多田哲平)

▽第101回全国高校サッカー選手権千葉予選
第101回全国高校サッカー選手権千葉予選