二見元監督(右)と上條岳校長(左)(写真=河野正)
それでも二見監督は、人工芝ピッチを有する強豪私学とは対極にある環境面などを言い訳にはせず、今いる選手を今のグラウンドで成長させようと苦心する。
ひとつ気の毒なのが、20年4月から県高体連サッカー専門部の委員長に就いたことだ。県内をはじめ、全国や関東地区の会議や催しなどで多忙を極める。「チームを留守にすることが多くなり、選手と過ごす時間が少なくなってしまいました」と、この時ばかりは苦虫をかみつぶしたような顔付きになった。
4月の関東高校大会予選は1回戦で完敗し、今は県リーグ(S2)を戦いながら、6月3日開幕のインターハイ予選に向けて調整中だ。
今年の武南は2月の新人大会に続き、関東高校大会予選も制した。母校の復調は、指揮官の気持ちをぐっと奮い立たせたのに違いない。
二見監督は「みんなが一生懸命頑張っている過程は褒めたいが、やっぱり結果が欲しい。結果を出してうちに魅力を感じる中学生を増やし、稲妻をもう1度全国に連れて行きたい」と意気込む。ユニホームの胸には、伝統の稲妻マークがデザインされている。黄金期のような雷光が再びひらめくようなら、埼玉の高校サッカーはさらに活性化するはずだ。
(文・写真=河野正)