関大北陽MF田中悠矢(写真=会田健司)
「勝ったから言えることですが、まだまだ若いチームなのでこういう経験もできてよかったかなと。ハーフタイムに僕が何を言うかでこのゲームが決まると思っていたので、敢えて"楽しもうぜ!"と言いました。あとは少しくさいですが"(俺が決めるから)安心しろ!"って言いました(笑)」とハーフタイムに檄を飛ばさなかった理由について語った田中。「自分の弱い面を克服出来ると思って立候補しました」と言っていた男がもうすっかりキャプテンマークも板についてきている。
それもそのはず、キャプテンになってからのこの半年間で「週一ぐらいで何かが起こっているので(笑)。それを全部自分の責任だと言い切れるようになったのが大きい」とチームで起こる問題に一個ずつ対処し、一歩ずつ自分の弱い面を克服してきたのだろう。
プレーの面では「(手は)2歳までは左利きで親が右利きに矯正したらしいんですが、サッカーを始めたら『足は左を使えるようにしろ』と言われて練習したので、右も左も一緒ぐらい蹴れる」という両足の精度と、一瞬で相手を抜き切ってしまうスピード。縦を警戒されればカットインから強烈なシュートを放ち、相手を引き付けてチャンスメイクも出来る。
「中学の時は足が速いだけで、試合に出ている中で一番下手だったので、全員が格上に見えていた」という京都サンガF.C.U-15時代に色々なポジションを経験したことで「そのポジションの時に相手に何をされたら一番嫌だったかを自分に当てはめてポジショニングを取るようにしている」と相手の嫌がるポジショニングも田中の武器だ。それもユースに昇格できなくても腐ることなく関大北陽で自分の武器を磨いてきたからこそ。
そして次戦はいよいよプリンス関西1部の阪南大高戦。
矢田竜之監督も強敵との一戦に向けて「いよいよですね。本当の自分たちの力が試される。やりがいもあるし、そう来なくっちゃという感じで、これが大阪ですよね」とベスト16でプリンス勢と当たる激戦区大阪を楽しみ、意気込む。
田中は「これまでとは全然違う戦いになると思いますし、今日のような出来やったら食われると思っているので、この一週間で何が出来るかが勝負になってきますし、自分はキャプテンとして決定的なプレーをすることが自分の仕事。チームの事を第一に考えて、自分のゴールでチームを勝たせたい」。
そう意気込みを語った田中。2年連続全国出場へ向け、田中がキャプテンとしてチームを支え、凄みを増したプレーでチームを救う。
(文・写真=会田健司)
▽令和5年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選
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