川崎監督時代の2000年第1ステージ最終戦で、セレッソ大阪にVゴール勝ち。今井監督が後半41分から送り込んだ浦田尚希が、延長後半1分に左足ボレーで決勝点を奪い、勝てば初のステージ優勝だったC大阪の夢を砕いたこの1戦は、語り草となっている。

 浦和西と早大の指導を通じて痛感したことがある。今井氏は「やっぱりいい選手が集まらないと、チームは強くならないし勝てません。いい選手の条件とは、技術的なうまさと戦う気持ちを備えているということですね」と説明した。

 各地で全国高校選手権の地方予選が真っ盛りだ。Jリーグが開幕して今年で30周年を迎え、プロになる目標が身近になった。それ以前にもアマチュアの日本リーグがあったが、高校生の最大の夢は選手権だった。それ故、予選や本大会で敗れると“燃え尽き症候群”と呼ばれ、サッカーへの情熱がしぼみがちだった。

 「だから浦和西の選手には、ここで終わりじゃないぞ、大学でも続けろよ。その後も社会人でプレーする機会だってあるのだから、生涯スポーツとしてサッカーに関わっていこうと伝えていたんです」

 今井氏の40年以上前の言葉は、現在の高校生にもあてはまる金言ではないだろうか。

 (文=河野正)