早稲田実業集合写真(写真=矢島公彦)

 速攻からFW9久米遥太(3年)が右サイドを抜け出して起点を作った瞬間、周囲の選手も一気に連動してサポート。そこからクロスを上げて一度は相手DFに跳ね返されたが、セカンドボールを拾ったMF6岩間一希(3年)からFW8竹内太志(1年)へとつなぐ。最後はFW竹内が先制ゴールを決めた。

 この攻撃シーンで見せた連動は、守備でも素晴らしかった。パスサッカーを武器とする國學院久我山の自慢のアタックに対し、早稲田実業はボールホルダーに素早くチェイシング。相手にドリブルで剝がされれば、すかさずカバーリングが入り、横に揺さぶられてもスピーディなスライドで最終ラインに穴を開けない。

 まるで11人が線でつながっているようだった。何か綿密なトレーニングをしているのかと思ったが、早稲田実業の森泉武信監督は「練習は例年通りの内容です」と言う。ならばなぜ無失点で悲願の全国初出場を決められたのか。指揮官は守備が機能した要因を謙遜しながら語った。

「結果的に無失点だったところもありますが、守備から入るのは1回戦からやってきました。T2リーグ(東京都2部)でも、こちらが優勢になるレベルの相手と対戦できていなかったので、そこが、どんな相手でも守備から入るとできた要因かなと思います」

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▽第102回全国高校サッカー選手権東京予選
第102回全国高校サッカー選手権東京予選