堀越が全国へ(写真=矢島公彦)
キャプテンのFW10中村健太(3年)によると、「引きずる」という表現はあまり言われてこなかったという。ここ一番で伝えられた言葉が選手の心を突き動かしたのだろう。主将が明かしてくれた立ち上がりのゲームプランは実に強気だった。
「最初は前線からのハイプレスで流れを持ってこようとしました。相手の左CBの選手が身体を開いてボールを持たないと分かっていたので、仲谷俊が相手の右CBからプレスをかけ、左CBに入ってきたところを狙い目にしてプレスをかけると常に考えていました」
戦術は見事にハマり立ち上がりから堀越がペースを握り、実際に22分にはハイプレスをかけて相手の左CBからボールを奪い、ショートカウンターからMF6渡辺隼大(2年)がシュート。GKに防がれて得点とはならなかったが、序盤から試合の流れを「引きずった」象徴的なシーンだった。
だが佐藤監督も認める修徳の実力はさすがで、後半の立ち上がりは修徳ペースとなり45分に失点。それでも「焦りはなかった」(中村)堀越は0-1で迎えた80分、MF渡辺のクロスからFW9髙谷遼太(3年)がヘディングで劇的同点ゴールを決めた。
テーマの「引きずる」を頭に入れたFW髙谷は得点前、ゲームの流れを的確に感じ取っていた。
「修徳高校が後半の最後のほうに足が止まってきていて、一方で自分たちは走り勝つことを目標にピッチ内でやってきたので、全体的にみんなが走れていました。なので渡辺がフリーでクロスを上げられて、そこにしっかり飛び込めました。後半の70分あたりからは、相手の足が止まっていたのを見て、全員が走れていたのが大きかったです」
土壇場で延長戦に持ち込んだ堀越は、スコアが動かず迎えたPK戦を3-2で制して全国行きの切符を掴み取った。紙一重の決勝戦で勝利できたのは、佐藤監督が強い表現で課した“テーマ”が効果覿面だったからだろう。
(文=志水麗鑑)
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▽第102回全国高校サッカー選手権東京予選
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