「そこのところは常に言っていて、『いくらボールを回していてもシュートを打たなきゃ点を取れないんだよ。シュートが打てるためにはどこに立ったら良いのか、ボールがここにある時にはここにいた方が点を取れる可能性があるよね?』ってところで常にゴールを中心に逆算して選手たちに伝えています」

 「最後はシュートで終わろう」という指示はピッチでもベンチでも常々耳にする言葉だが、実際にここまで気持ちよくシュートを打つチームは珍しい。もちろん打てば何でも入るわけではなく、打った分だけ外す本数も刻むのだが。

 「そこがやっぱりウチが上の方で勝っていけないっていう課題だと思っています。そこで決め切れる技術もそう、決め切るメンタルもそう、落ち着きもそう、そこがやっぱりまだまだ上のチームに追いついていけないところなので、そこを決め切るようにしながら上を目指して行きたいですね」

 この先勝ち上がって行けば待ち受けるのは百戦錬磨の強豪校たち。諸刃の剣になりかねない『市ヶ尾スタイル』だが、一転それが通用した時には多くの高校サッカーファンが熱狂することは間違いない。この秋、そんなスタジアムの光景を是非とも見てみたい。

(文・写真=西山和広)

▽第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第103回全国高校サッカー選手権神奈川予選