日大藤沢の佐藤輝勝監督

 さらに「先ほどの宮崎対藤沢の試合を見ても全国レベル。サッカーのレベルが変わったし、生徒たちもスポーツマンらしい生徒たちになった。これは本当に素晴らしいこと。技術だけじゃなくて行動も立派になった」と、昔に比べ大会のレベルも質も上がったと喜んだ。

 そのレベルを引き上げている代表格ともいえるのが、全国大会常連となった日大藤沢。その日大藤沢を率いる佐藤輝勝監督も高校生の時にこの大会に出場している。

 佐藤監督は日大三島出身。先輩を追って入学し、サッカー選手を目指していたが、南谷先生に出会ったことで「指導者になりたい」と目標が変わった。南谷さんとの出会いが人生を変えたのだ。

 「"いいからやれ"という指導ではなくて、当時では珍しく、なぜできないのか理由を説明してくれる指導だった。"サッカーは楽しい"というのが指導の根底にあって、やっている自分たちも楽しかった。選手一人一人を大事にしてくれて、例え話もイメージしやすい。今の自分の指導の基礎になっています。

 自分は南谷先生に井戸を掘ってもらった。今はありがたいことに注目してもらえるようになって、おいしい水を飲めるようになりました。最初に指導者としてやっていこうと思わせてくれた人は南谷先生なので、そこを忘れちゃいけないと思っています。子供たちにも、小学校や中学校で最初に教えてもらった、自分の井戸を掘ってくれた人に感謝しようと言っています」。

 厳しい指導が当たり前の時代に、個人に寄り添いサッカーの楽しさを教えてくれた。そんな南谷さんの指導に触れ、佐藤監督は指導者を志すようになった。

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▽令和6年度日本大学体育大会(高校の部)サッカー競技会
令和6年度日本大学体育大会(高校の部)サッカー競技会