終盤の78分に横パスを拐われ、失点を許したものの富士東は、増田監督もその決定力に太鼓判を押す坂部の冷静な2得点で勝利をものにした。

 「僕はインターハイで前十字靭帯を切ってしまって、一回は引退を考えてたのですがチームのみんなやトレーナーの方と監督、コーチ陣がサポートしてくださって、こうやって復帰することができて、 その思いも背負って選手権に臨んでるので、人一倍気持ちが強いです」。そう話す坂部の右手には背番号『7』DF井出佑斗のユニフォームがあった。「今日は受験で出られなかったので。負けられませんでした」と、はにかみながらも仲間への思いを口にするとユニフォームと共にイレブンが待つ歓喜の輪に飛び込んでいった。

 迎える3回戦の相手は伝統校の清水東だ。「トーナメントなので、一戦必勝の気持ちで粘り強く戦いたい。清水東が粘れ、走れが哲学なので、それを上回るだけの粘りと、そして運動量で清水東に挑戦したいです。何とかもう一回。もう一回(インハイ予選の様に)行きたいです」

 それぞれの想いを胸に、新しい富士東が旋風を再現する。

(文・写真=西山和広)

▽第103回全国高校サッカー選手権静岡予選
第103回全国高校サッカー選手権静岡予選