川越南を率いる久津間岳文監督

 川越南は今年、リーグ戦を全勝で終え昇格を決めたが、そこで満足することなく常にこの舞台を見据え準備を進めてきた。普段の4-4-2とは別に、大学生や強豪チームのセカンドチームなど、格上との練習試合で5バックの練習も同時に行ってきた。そして2試合を勝ち抜き"県大会"と呼ばれるこの舞台にたどり着き、一年間準備してきたシステムを試す時が来たのだ。

 それでも実戦は練習とは相手の本気度も緊張感も違うもの。そう思い通りにはいかないのが世の常だ。しかし、川越南イレブンはワンプレーごとに手応えと自信を積み上げ、ついには相手を80分完封することに成功した。

 「負けてしまいましたけど、今年のベストゲーム」。

 結果的に延長戦で敗れてしまったが、指揮官はこの試合を今年のベストゲームだと断言。キャプテンのGK1郷原恵太(3年)も「相手が格上ということでそれに対応するための練習をここまでやってきて、通用しない部分の方が多かったけど、通用して戦えた部分もあったので、やってきて良かった。最後相手にしっかりぶつかっていい試合ができたと思うので悔いはないです」とコメント。これは出せるものを全て出し切り、やり切った者にしか言えない言葉だ。

 それでも3年間を振り返れば「受験勉強とかいろんな状況もある中、ここまで続けるだけでも精一杯なところもあった。自分たちの悔いとしては、ケガや塾とかで全員が揃わないことが多かったこと」と悔いも残ると話した主将。「リーグ戦で昇格したので、今年より難しいゲームが多いと思うし、そんなに甘くないと思うんですが、そこを頑張って上を目指してほしい。インターハイや選手権では結果も大事ですけど、とにかく最後まで続けてやり切ってほしい」と後輩たちにもやり切ってほしいと後を託した。

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▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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