上尾が武器のCKで土壇場に追いつく
そのキッカーを務めたのがキャプテンのMF10小澤流斗(3年)だ。「グラウンドの中の監督のような存在でやってくれて。今日もポジティブな声掛けをずっとしてくれて、小澤のおかげでもってくれたチームです」と塚田監督が全幅の信頼を置く小澤は2人だけ残った3年生のひとり。
その小澤も「直近の試合もセットプレーで勝ってきたので、最後の最後まで諦めないというのが上高の特徴」とキッパリ。してやったりの形での同点ゴールだった。それでも選手層の薄さから足を攣っている選手も交代できず、延長戦で朝霞に押し切られてしまった。
しかし小澤は「足が攣るってことは全力を出し切れたということだと捉えて、今日の試合は良かったかなと思います」と実にポジティブ。悔しさよりもやり切った充実感が漲っていた。そして「周りが勉強している中で、自分はサッカーと向き合っていいのかとずっと不安もあったんですが、1、2年生が迎い入れてくれたので、彼らに感謝しながら自分のできることを一生懸命にやっていました」と実に謙虚だった。
この下級生に素直に感謝できる小澤の人間力。これがこのチームのひた向きさを生み、このチームの強さを生んだのだと納得させられた。
「この試合を1、2年生主体で経験できたことが、上尾高校の経験値になると思うので、そこを生かして、悔しさもバネにして新人戦に向け頑張ってほしい」
高校最後の試合を終え、主将が残した言葉はしっかり次の世代に受け継がれる。
(文・写真=会田健司)
▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
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