上尾を率いる塚田智宏監督

 激闘を終えた塚田智宏監督はそう試合を振り返った。選手権まで残った3年生は2人。ほとんどが1、2年生で挑んだ選手権で、2試合を勝ち抜き"県大会"と呼ばれる決勝トーナメントに進出。さらにこの試合では2度先行されながら2度追いつく健闘ぶりだった。

 「1、2年生でどう頑張るか。カツカツの中でやっていたので、普段から選手が今できる一番いいパフォーマンスを出せるよう、人間性の部分を重視してやってきました。そういう部分が出たからこそ、勝ち残れたのかなと思います」。

 限られた人員の中でどうすれば選手たちが力を発揮できるのか。そんな中、指揮官が出した答えは"CKを武器にする"だった。

 「CKからしか点は取れないと思っていたので、入り方だったり、こぼれ球の反応だったりをひたすら練習してきて、その通りに点が取れたので、"おれたちにはCKがある!"と思って、最後もCKが取れればチャンスと言っていた中で本当に取れたので、練習には意味があるということを改めて教えてもらいました」

 その武器として磨いてきたCKから後半アディショナルタイムに生まれた同点ゴール。傍からは偶然取れたように見えるゴールでも、このゴールには彼らの拘りと練習量が詰まっていた。

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▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選