MF9中村悠里(3年)がゴールを決めて沸き立つ上尾鷹の台

 この試合で2ゴールの活躍を見せたキャプテンの中村。どこからでも狙えると言わんばかりの左足の威力は強烈で、先制ゴールには会場からもどよめきが起こり、敵将も「あんな凄いシュートを決められて驚きました」と舌を巻くほどだった。

 そんな中村、「自分は元々GKで去年の選手権でもGKだったんですが、それで悔しい思いをしてここまでやってきました」。実は2年生までのポジションはGK。「今日のGKの子が高校からサッカーを始めた子なので、中村君には1、2年生の時はGKをやってもらっていて、自分の代になってからFPをやってもらいました」(横田監督)。チーム事情もあったとのことだが、元GKとは信じ難い働きぶりであった。

 インターハイ後に前キャプテンが引退し、キャプテンを引き継いだという中村は「自分がシュートを決めてやろうという気持ちで入っていいシュートを決められて、チームもいい雰囲気だったんですけど、1点目2点目と失点してしまって、雰囲気も悪くなってしまった。でもみんな最後まで頑張っていましたし、自分も1点でも多く決めようとやっていました」と試合を振り返った。

 そして「3年間県大会を目指して、先生方を県大会に連れていきたいとここまでやってきました。最後にここまで来れてよかったです」と県大会にこれたことが良かったと話したが、その時に見せた涙は"勝ちたかった"という悔しさに溢れていた。

 1-4とされてからも試合終了まで全く諦めず、自身のゴールで2点差に縮みてみせた中村。

 「下の子たちは初心者の子も多いんですけど、終わった後に"次は俺たちが!"と話していたんで、この気持ちを忘れないでやってくれると思います」(横田監督)

 キャプテンが魅せたラストダンス。次の世代に気持ちはしっかり届いていた。

(文・写真=会田健司)

▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選