この逆転劇を正木監督は「青森山田の伝統というか、色々な想いや覚悟を持って青森まで来ている選手が多いので、簡単に負けられないという想いがあの失点によって起こされたのかな」と説明した。

 県内410連勝という記録に対しては「私が卒業してから当時は春季大会からの記録だと思います。どこかで負けていれば良かったですね。その責任を前監督に背負わせればよかったかな(笑)。考えられない数字だと思いますし、今は気にしないようにはしています」と笑った。立ち向かってくる相手を跳ね返し続け、積み上げられた記録がもたらす重圧は計り知れない。それでも青森山田は今大会もその記録を更新することに成功した。

 「選手権は過去4回優勝して、その次の年っていうのは本当に苦労しているし、そうは見えなくても周りから言われることも多々あります。ただ今年1年はそのプレッシャーで戦えるのはウチしかいないし、連覇に挑めるのも我々しかいない。でも今年のチームに選手権もプレミアも、ディフェンディングチャンピオンという意識はなく『俺ら雑草だぞと、下から這い上がって行こう』と口にしている。良い意味でみんなで頑張れるチームになっていった。そこはあまり大きく言わずに純粋に、今年のチームで日本一になろうと思っています」

 貫禄の逆転勝ちで全国切符を獲得した青森山田が全国大会2連覇に向けて、まずは一歩を踏み出した。

 (文・写真=古部亮)

▽第103回全国高校サッカー選手権青森予選
第103回全国高校サッカー選手権青森予選