こう言ってようやく声を絞り出すと、大谷の目から大粒の涙がこぼれ落ちてきた。

 勝負ごととは本当に難しいものだ。夏に強くても秋を迎える頃にはどのチームも力をつけ、頂点に立つのは容易な作業ではない。

 かつて大宮東、西武台、武南がインターハイで準優勝しながら、選手権予選ではいずれも勝てなかった。

 玉田監督は「リーグ戦とトーナメントの違いをはじめ、人工芝に慣れているが天然芝はまた違った感触がある。雨も降っていた。いろんな条件があると思いますが、勝たせられなかったのはすべて自分の責任です」と述べ、大谷の言葉を伝えると「そうですか。私もハーフタイムに戦う姿勢、勝ちたい思いで差があると指摘したのですが」と唇をかんだ。

 しかし最後は大谷と同じく、「他力本願ですが、高円宮杯 JFA U−18サッカープレミアリーグ2024 EASTで(優勝する)可能性があるので、気持ちを切り替えたい」と気丈に話し、暫定4位につけるプレミアリーグEASTの残り3試合にこの悔しさをぶつける覚悟を示した。

(文・写真=河野正)

▽第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選