ぶち込んだ、ぶち破った　光明相模原DF横山兼志、“個”を超えた夏の証明

　新人戦の頃、彼はまさに“素材感”あふれる選手だった。ドリブルにロングスロー、スタミナ。そのどれもが人目を引く武器だった。けれどその輝きは、まだチームの中で生きるには少し荒削りで、勢いが空回りしてしまう場面もあった。感情がプレーに出やすく、できるがゆえに雑に映ってしまうこともあり、もったいなさが残った。

　だが、この日の横山は違った。

「サッカーはみんなでやるスポーツ。1人じゃ無理なこともある。だから、みんなでやろうって思うようになった」。その言葉どおり、彼の2点目はチームとの“呼吸”で生まれた。キッカーの吉野水綺と事前に「俺がいるから、俺が合わせるから、思い切り蹴ってくれ」と確認し、届いたボールに鋭く頭を合わせてゴールネットを揺らす。小柄ながらも「ヘディングは誰にも負けない」と豪語するその姿には、確かな自信と責任感がにじんでいた。