「選手権が近づくと、こっちが何も言わなくても、彼ら自身が“やるべきこと”を分かって練習から取り組んでくれた」と試合後の指揮官・岡野亘監督の言葉には、深い信頼と少しの誇らしさが滲んでいた。

 川和は、県内屈指の文武両道校である。ノートを閉じ、ボールを蹴る。そのどちらにも全力で挑むことを、小野は“当たり前”として捉えていた。だからこそ、プレーに迷いがなく、言葉にも揺らぎがない。どんな状況でも“前に出る”ことを、自分のスタンスとして貫いてきた。

「入りの5分は良かった。でも、そのあとの緩みがまだ課題。試合を通して1分たりとも気を抜かない。それが今後のテーマです」

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▽第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選
第104回全国高校サッカー選手権神奈川予選