開成MF9小西孝太郎(1年)
「他にもクラブチームをいくつか受けていたんですが、勉強との両立を考えると(通う距離が)遠かった。中学の時も部活の練習にも参加させてもらっていたので、先輩たちと一緒にやりたいと思って部活に入りました。今日のスタメンの1年生3人は同じサイドでのプレーでしたが、連携も取れていて、コミュニケーションは取れていたと思います」
クラブチームから高校の部活に入ったが、かつての仲間や先輩たちと同じユニフォームを着て戦う。その絆があるからこそ、新チーム結成から間もない時期でも、確かな組織力をピッチ上で表現することができた。
多くの高校サッカー部にとって、部活動の集大成であり最後のステージとなるのは「3年生の秋(選手権)」だ。しかし、開成サッカー部における引退のタイムラインは、それとは全く異なる。
彼らには大きく分けて3つの「引退の波」がある。まず1つ目は、最も多くの部員が受験勉強への本格的なシフトを見据えてユニフォームを脱ぐ「2年生の冬(新人戦)」。2つ目は、開成最大の伝統行事である「3年生の5月の大運動会」。最高学年はこの運動会の運営や準備にすべてを捧げるのが同校の伝統であり、ここでまた多くの生徒が一区切りをつける。そして3つ目が、運動会を終えてもなお、自らの意志で残る数人のみの「3年生の夏のインターハイ(総体)」だ。
「伝統の運動会があって、それに合わせてみんな区切りをつけて勉強という流れがある」と菅監督は言う。「ただ、僕がきてからは、総体(インターハイ)まで残ってくれる3年生も数人いて。やはりそういう子が多ければそれだけチームは強くなりますし、気持ち的にはそうさせたい。ですが、保護者の方も進学に対して色々考えていらっしゃると思うので、本人たちの気持ちと保護者の方の気持ち、両方が揃わないとなかなか難しいところです」
最高学年が夏のインターハイで完全に引退を迎えた後、秋の選手権を戦う新チームの主力を託された2年生たちにも、すぐ後ろに最初の、そして最大のタイムリミット(2年冬の新人戦)が迫ってくる。だからこそ、開成サッカー部において「集大成」であり「引退試合」となるのは、この選手権ではなく、直後に控える冬の「新人戦」なのだ。
キャプテンの原は、厳しい表情で現状を見つめていた。「インターハイの時は(残ってくれた3年生もいて)勢いがあったんですが、3年生だけじゃなくて、2年生の中にももう(勉強のために)引退している子がいる。この夏休みに、チーム全体で同じ方向(矢印)を向いてやっていくところが、少し甘かったのかもしれません。インハイの好結果で周りからの期待もあったからこそ、今日は絶対に勝たなければいけなかった。やっちゃいけない内容の試合で、選手権が終わってしまった」
1年生の小西も、引退した先輩たちの存在の大きさを痛感していた。「3年生が今までカバーしてきたところを、自分たちが補えていなくて修正できなかった。先輩たちの動きの強度や推進力に、インターハイでも頼っていたところがあった。最後の2失点目も、引退した3年生たちが今までなら戻って防いできたところに甘えて、自分たちが戻りきれなかった」
「日本一の進学校」と言われる環境だからこその難しさもある。小西が続ける。「みんな塾も行っているので、全員が揃って練習できる日も少ないし、練習時間も限られている。サッカーをやっていると土日も平日も勉強の時間が削られたり、疲れて勉強できないこともある。そんな中で、2年生になって勉強にシフトしてきている先輩たちが、練習や試合に出てきてくれているのは本当にありがたいなと思います」
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▽第105回全国高校サッカー選手権東京予選
第105回全国高校サッカー選手権東京予選