都立東久留米総合は4-4-2、草津東は4-2-3-1のシステムでスタートすると、いきなりゲームが動く。草津東が相手陣内左サイドから11番川崎寛太が右足でゴール中央へクロス。このボールをキャプテンでもあり、エースの9番渡邉颯太が『足元にボールがきてターンしたらいいところにボールが落ちたので思い切って打ちました』というように、滑り込みながら放った技ありゴールで先制に成功する。

先制点を奪われた都立東久留米総合はこのプレーで接触した、キャプテン5番下田将太郎が怪我で交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われ、急遽3番鈴木亜藍がピッチへと送り出される。ゲーム序盤で精神的柱を失った東久留米総合の気持ちの立ち直りを待たずに、草津東がゲームの主導権を握る。草津東・牛場関監督の『サイドを起点に相手を広げてから中央攻撃を狙う』を、先制点を奪った9番FW渡邉颯太、チームの司令塔 10番MF小酒井新大、右サイドのスピードが特徴の11番MF川崎寛太を中心に選手たちが体現し、ゴールへと迫る。

19分、左サイドからのCKを得た草津東。キッカーを務めた8番MF夏川大和のボールがゴール前混戦でのオウンゴールを誘い、リードを広げる。31分にも草津東。高い位置でボール奪った、6番MF四元舜希の縦パスを9番FW渡邉颯太が収めると、そのままドリブルで持ち込みゴールニア上に突き刺すゴールで3点リードで前半を折り返す。

前半シュート1本に抑えられた東久留米総合だが、ハーフタイムに加藤監督から『ギャップの生まれやすいDFラインの背後を狙え。2点取れれば何かが起きる』と檄を飛ばされた選手たちが躍動する。攻守にわたって前へ出る意識を一層強く持った都立東久留米総合。後半3分のビックチャンスは相手GKのファインセーブに阻まれるが、それでもキャプテンマークを任された4番DF岩田蓮太が声を出し続け、チームを鼓舞する。セカンドボールを拾えるようになった東久留米総合は得意のサイド攻撃でチャンスを作り出す。13分に7番MF柳田晃陽とのワンツーで抜け出した12番FW松山翔哉がダイレクトシュート。GKの手弾きながらもゴールネットを揺らし反撃の1点をあげる。東京開催ということもあり、東久留米総合の観客の声援が響き渡り、選手たちを後押しする中で24分。最終ラインから4番DF岩田蓮太が前線へロングボールを送る。味方が競ったこぼれ球を7番MF柳田晃陽がプッシュして1点差へと詰め寄る。

後半は終始劣勢であった草津東だが、選手交代でチームえを活性化させると終了間際の39分。相手の隙を突いてボールを奪った10番MF小酒井新大が再びリードは2点差。最低でも2点が必要な都立東久留米総合に残された時間はあまりにも短く、無情にも試合終了の笛が鳴りびく。

前回、前々回と全国大会で大敗を喫した草津東が『全国でも勝てるチームを』と挑んだ今大会で、令和初の全国全国高校サッカー選手権大会2回戦へと名乗りを上げた。

(文=佐々木竜太)

▽第98回全国高校サッカー選手権大会
第98回全国高校サッカー選手権大会