非常に強い風が吹く中、行われた一戦。前半、その風上に立って攻めたのは帝京大可児。前半18分、敵陣右サイドでスローインを得ると、2番神戸がロングスロー。これは相手ディフェンスにクリアされるもそこで得たコーナーキックのこぼれ球を押し込むも、これは大手前高松ディフェンスが全員で体を張って守備。その後も7番関根と2番神戸のロングスローは追い風に乗り、大手前高松のゴールに襲い掛かる。しかし、帝京大可児はあと一歩のところでシュートに届かない場面が続く。

エンドが変わった後半、大手前高松が帝京大可児を押し込み始める。GK三谷などからのロングキックを競り、こぼれ球を15番富家らが回収。攻撃を組み立てる。後半6分には左サイドゴールに近い位置でフリーキックを獲得。8番滝平の正確なボールに6番木村が折り返し、チャンスを作るもこれはオフサイド。

上に立ったことで勢いに乗りだした大手前高松は8番滝平と17番柾木のロングスローで帝京大可児ゴールに襲い掛かる。そして迎えた52分。8番滝平が左サイドからロングスローを投げると、ボールは風に乗りゴール前まで伸び相手キーパーの手、そして、バーに当たって、ファーサイドへ。そこに待っていた11番谷本が左足ワンタッチで押し込みゴールネットを揺らし1-0とした。

追いかける展開となった帝京大可児は57分に選手を2枚替え。20番藤村と15番小宅を投入し攻撃のリズムに変化を作る。この二人と13番杉江を中心に、キーパーからしっかりとパスをつなぎ、攻撃を組み立てる。これに対し、大手前高松は10番キャプテン片上から始まるハイプレッシングで対抗。何本かシュート手前まで行く場面はあったものの、大手前高松の団結した守備は崩れなかった。

そして試合は終了。前半を耐え、後半チャンスをものにした大手前高松が1-0で勝利し、全国サッカー選手権で初出場初勝利を飾った。試合後、帝京大可児のキャプテン神戸は、大手前高松の応援席に向け「僕たちの分も頑張ってください」と伝えた。夢を託された大手前高松は1月2日ゼットエーオリプリスタジアムで矢板中央と対決する。

(文・写真=堀井優真)

▽第98回全国高校サッカー選手権大会
第98回全国高校サッカー選手権大会