迎えた後半は葛谷が前半とは打って変わり、前を向く回数が増加。大津が開始からペースを握る展開となった。これで、両サイドの坂元、MF古庄壱成へと幾度となくボールが渡り相手ゴール前へと侵入する。

 これでリズムを掴んだ大津は、後半20分に古庄が相手GKのタイミングを外す絶妙なトーキックで待望の追加点を奪取。さらに、同25分には再び、葛谷のパスを受けた坂元が1人かわして得点を奪うと、同30分にはここまで2アシストの葛谷が豪快に決めてリードを広げる。アディショナルタイムには途中出場のMF平野健二がMF田原悟のシュートがこぼれたところに詰めて駄目押し弾。「時間の経過と共にうちのサッカーが出来てきた」と平岡和徳監督がこの試合を振り返ったように終わってみれば5−0の快勝。

 快勝を収めた試合、チームに勢いをもたらしたのが坂元の存在だ。序盤は苦戦を強いられながらも、緩急を織り交ぜたドリブルで縦への突破から攻撃のリズムを生み出して見せると、苦しい時間帯にチームの先制点を奪ってみせた。後半にもペナルティエリア内で決定的な仕事を果たし、この日2得点。「大久保選手が好きだということもあって13番を選んだけど、自分の色に染めたいというのがあってこの番号を選んだ」と意気込む男が圧巻のゴールラッシュの口火を切りチームは好スタート。2回戦が楽しみになる試合内容だった。

【取材・文・写真=松尾祐希】