後半からは疲れで足が落ちた東福岡に対し、鹿児島実はFW福島立也など4枚の交代カードを切り、反撃を開始。相手陣内でプレーする時間が増え、57分には右サイドを上がったDF鮫島大がゴール前に入れたスルーパスをMF渡邊大地がスライディングで合わせたシュートがネットを揺らし、鹿児島実が再び1点差に詰め寄った。
一気に逆転まで行きたい鹿児島実だったが、東福岡に焦りの色はない。すぐさま気持ちを切り換え、60分には左サイドのDF末永巧がゴール前にクロスを展開。ゴール前での混戦からMF永田大樹が左足シュートを決めて、4-2とする。「あの失点が痛かった」と森下和哉監督が悔やんだ得点で鹿児島実の息の根を完全に止めた東福岡は残り10分を上手く耐え凌いで勝利。準決勝進出を決めた。
この試合は主将でエースの得点源であるMF中島賢星を出場停止で欠いた中での戦いだったが、森重監督も「キャプテン不在になっても、そういうゲームもこなしてきたし、賢星がいない中でのサッカーでも良さはあると思っていた。そういう中で前半の立ち上がりから結果を出せたし、得点に繋げたというのは確かに逞しさを感じる」と評価したように、代役であるMF中村健人が奮闘。他のチームメイトも中島に頼らない組織的な戦いで勝負強さを見せた。「次は賢星がやってくれるはず」。主将の代役を任されたDF小笠原佳祐がそう話したように、準決勝・青森山田戦では“休み”明けの中島の活躍で優勝に王手をかける。
【取材・文・写真=森田将義】