昨年の選手権決勝では0ー4で昌平に敗戦。今年も昌平が横綱として君臨してきそうな中で守屋監督は「守りだけで勝ちたいとも思っていないので、やるとなったらまた4点取られようが5点取られようが攻めに行くと思う。じゃないと子供たちも伸びなかったり、成長しない。今後そういう形はどんどん作っていきたい」。今年も西武台は攻撃的なスタイルで頂点を狙う。

そのひとつの施策として取り組んでいるのが「3ー4ー3」の形。ここ数年、西武台は「4ー3ー3」システムを敷いており、現在の2年生も1年生の時から親しんできた形という中で、ここで新しいシステムに取り入れてきたあたりに今年にかける意気込みが感じられる。

鍵を握るウイングバックの岡崎と栗田はもともと純粋なサイドバックだった中で新ポジションにも意欲的だ。左の岡崎は「自分のポジションは運動量が大事になってくるので走り込みもしっかりしています。そういうところでは走れるようになってきている」。右の栗田は「攻撃参加が増えるのは自分にとってはいいこと。ボールを受ける位置が少し高いので、ミドルシュートであったり、いろいろな選択肢がある」と武器の攻撃性を生かせるポジションを歓迎する。指揮官も「岡崎がだいぶ良くなっている。(両選手ともに)攻撃力も上がってきた」とする。

また栗田はセットプレーのキッカーとしても存在感。この日も正確な右足のキックで2点を演出した。「キックは自分の一番の武器。大体ここに飛ばしたいというところに飛ぶので、あとはミートすることを意識しています。練習からニア、ファー、真ん中と合図を決めて、相手や流れに応じて決めているので、コーナーは結構チャンスになる」と栗田。平均身長はそこまで高くはない中でセットプレーで取れているのはキックの力も大きいだろう。「後半はやっぱりどうしても上がる回数がちょっと落ちた」と体力面は今後の課題だが、プレータイムでも彼が駆け上がり、正確なクロスを供給する場面が増えれば大きなチャンスに繋がりそうだ。

直前の「ジャパンユースサッカースーパーリーグ」では強豪・富山第一に勝利。「3バックだと前からプレスをかけられる。県外のチームとやっても守備が嵌ったり、ボールを奪う回数も多かったので、意外と通用するなというのは感じました」と栗田。守備の部分では手掛かりも得ており、今後はいかに攻撃の場面で厚みを持たせられるかが新システム成否の鍵を握る。

昨年はインターハイで久々の全国に出場したものの、初戦で高知に敗れ2回戦敗退に終わった。「全国でしっかり戦えて、勝てるようにというのはやっぱり描いています」と指揮官がいうように最終的な地点は全国での勝利。そこに向けて西武台のチャレンジングな1年が始まった。

記事提供:埼玉サッカー通信・石黒登

▽令和元年度埼玉新人戦(新人選手権大会)
令和元年度埼玉新人戦(新人選手権大会)