互いに勝利への執念を前面に出す球際の激しさがピッチの至る所で表れた後半、攻勢を強めたのは都立大崎。40分、中央10番のスルーパスから左サイドを抜け出した8番が得意のカットインから右足で狙う。続く41分にも、カウンターから一気にスピードを上げた8番が強引に突破し、シュートまで持ち込むなどゴールとはならないものの、得点の匂いが漂い始めた。

 しかし、サッカーは何が起こるかわからない。このまま都立大崎ペースで進むと思われた42分、予想に反して八王子実践が少ないチャンスをゴールに結びつける。DFとGKの間のスペースを狙ったロングボールに反応し、右サイドを抜け出したのはFW10番。このボールに対してGKが処理を誤ったところを見逃さずマイボールにすると、右サイド深い位置、角度の少ないところから蹴り込んで勝ち越しゴール。八王子実践が劣勢の中、2対1とリードを奪った。

 逆転ムードが一転して再びリードを許した都立大崎。左MF8番が非常に高いポジションを取るなど、両サイドが攻撃に比重を置くことでバランスを崩しかけたところ奮闘したのはボランチ10番だった。スペースをしっかり埋める絶妙なポジショニングから、確実なプレーで攻撃を組み立てる。

 すると迎えた48分、スルーパスに反応した8番が左サイドを抜け出すと、DFと競り合いながらもしっかりと決めて貴重な同点ゴール。都立大崎が試合を振り出しに戻すと、一気に畳み掛けた。

 2対2の同点。最後に勝負を決めたのは都立大崎エースナンバーを背負う中盤のテクニシャンのアシストだった。50分、左CKからこの日チームに大きく貢献した10番の絶妙なクロスに9番が頭で合わせ値千金の決勝ゴール。

 2度リードを許す展開も、粘り強く追いつき勝ち越した都立大崎がこの1点を守りきり逆転勝利。4月の高校総体予選では突破できなかった1回戦の壁を打ち破り高輪が待ち受ける2回戦へと駒を進めた。