後半開始と同時に、東海大高輪台は2枚替えを敢行する。DF小池英翔、MF武川剣進を投入しゴールを狙った。46分には入ったばかり、武川のボール奪取を起点に波状攻撃。フィニッシュとなったMF袖山翼のシュートはクロスバーを越えたが積極的なミドルシュートが相手DFラインを下げていく。さらに51分には野村のCKから田中が頭で合わせるビックチャンスを迎えるなど、再三のシュートがボディブローのように作用し、青稜を苦しめた。

　圧倒的劣勢も、青稜が継続的に狙う“一発”の怖さは健在。
　54分、自陣でのボールカットからFW濵田紘平へと繋ぎ、クロスにMF八十僚太朗が飛び込むが惜しくも合わず。70分にはFW宮瀬拓海の右クロスから濵田がフリーで狙うこの日最大の絶好機を作り出したがボールは無情にもゴール右へと逸れていった。

　カウンターのピンチを凌いだ東海大高輪台。
　繰り出し続けたボディブローがようやく実を結んだのは試合終了も近づいた73分だった。右サイドを駆け上がったDF畠中一樹のクロスをファーサイドに待ち構えるMF渋谷が頭で折り返すと最後は本藤が押し込む。前線で身体を張り続けた2年生ストライカーの一撃が試合の均衡を破る先制点。ようやくリードを奪った東海大高輪台はその後、ホームグランドに集った多くの観客の声援を背にこの1点を守り切る。苦しみながらも2回戦進出、次戦で前回大会準優勝校実践学園との対戦が決定した。

　一方敗れはしたものの、1、2年生のみのチーム構成となった青稜も大健闘。格上相手にも最後まで諦めない懸命なプレーを続けた。敗戦の中にも大きな収穫を得たであろう青稜の今後に期待される成長は非常に楽しみである。

（文　金子侑史）