スコアレスで迎えた後半、試合は動きを見せる。

 東京朝鮮中高級学校は前線の選手交代を敢行すると、この一手が功を奏したか、直後の47分に先制点奪取。CKからDFペクスンホがヘディングシュートを叩き込んだ。劣勢の東京朝鮮中高級学校が総体予選時同様、先手を奪うことに成功する。

 一方、ビハインドを背負った帝京は、ベンチから積極的にクロス供給の指示。

 55分、DF鈴木啓太郎の左アーリークロスに桑島。62分、平井の上げた左クロスをファーサイドで浅見が折り返し最後は長倉。連続好機を逸し帝京スタンドからは溜息が、東京朝鮮中高級学校スタンドからは安堵の声がピッチを包む。

 それでも、胸に輝くは全国制覇を示す9つの星。名門の名に懸けて攻め続ける帝京は66分、待望の同点ゴール。右サイドを突破した長倉のクロスに浅見がボレーで応えた一撃はファーサイドネットに吸い込まれる。

 ようやく好機を活かした帝京。これまでの重苦しいムードは一変、逆転への勢いは俄然増した。するとタイムアップも迫った75分、中瀬のCKから平井がヘディングシュート。この日幾度となくサイドからチャンスを作り続け、とうとう決定的な仕事をやってのけた男はベンチへ一目散に駆け寄るとチームメイトからは手荒い祝福。両手の拳を突き上げて歓声に応えて見せた。

 その後、MFムンインジュ、MFキムシンジュンを立て続けに投入し反撃を試みた東京朝鮮中高級学校に対し、平井の勝ち越し点を守り切った帝京が逆転勝利。総体予選のリベンジをきっちりと果たしたカナリア軍団に漂うは古豪復権の兆しと言ったところか。目標に掲げる6年ぶりの全国はもう目の前だ。

(文・写真 金子 侑史)