一方、古豪復活を期待するファンに勝利を届けたい帝京はやや低調な滑り出し。24分、FW高橋心にチームファーストシュートが生まれるまでチャンスらしいチャンスはなく、國學院久我山のパスワークに対するケアに追われた。
それでもスコアレスで迎えた後半は帝京が好機創出。前半同様、國學院久我山にポゼッションを許すも、ボールカットからの速攻、高さを生かしたサイドからのクロス攻撃は迫力満点。42分、MF浅見颯人がカットインから右足を振り抜くがクロスバー直撃。44分、左サイドからMF布施颯斗が繋ぎ最後はMF中瀬大夢がシュート。ゴールには至らないものの、強く攻撃的姿勢を打ち出した。
攻防の激しさは時間とともに増し続ける。
拮抗した展開の中、73分には國學院久我山。内桶との連携で右サイドを崩した名倉のクロス、中央で澁谷が潰れるとこぼれ球を鈴木がシュートを放つもゴール左へ。75分には帝京。右サイドのクロスから途中出場のMF大庭健人がヘディングシュートを放つも、國學院久我山GK平田周がセーブ。攻守が目まぐるしく変わる展開も、互いにゴールシーンは訪れず。
スコアレスでタイムアップ。試合はその後10分ハーフの延長戦を経てPK戦へ突入した。
緊迫のラストマッチ、サドンデスまでもつれ込んだ激闘の軍配は國學院久我山に上がった。「PKになっても絶対勝てると信じていた」と主将DF宮原直央が話したように、1人目が失敗したもののその後6人が連続でキックを成功させた國學院久我山に対し、帝京は1人目、そして6人目が痛恨の失敗。勝負が決した。
國學院久我山が聖地での激闘を制し3年連続7度目の全国へ。試合後、西が丘は死力を尽くした両チームの選手に対する拍手に包み込まれていた。
(文・写真 金子 侑史)