藤枝明誠イレブン(写真提供=オフィシャルサポート)

　それでも球際の厳しさを緩めない山梨学院は、後半から笹沼航紀と茂木秀人イファインを投入。山梨学院優勢のままゲームを進めていく中、藤枝明誠も好守の切り替えを徹底し、激しいボールの奪い合いが続く中でも、速攻の応酬のような展開を続けていく。緊張感のある攻防の中で、気を吐いたのは藤枝明誠の市川泰壱と山梨学院の熊倉。2人のGKは互いに譲らぬ好反応で相手の攻撃を防ぎ味方を鼓舞。両GKの活躍もあって、試合は80分を終了して1-1のままPK戦へと突入する。

　山梨学院の先行で始まったPK戦でも、一歩も引かない両校は6人ずつが決める大接戦を続行するが、明暗を分けたのが7人目。山梨の7人目、中根悠衣がPKを成功させたのに対し、藤枝明誠7人目のキッカー、三輪昭太がゴール左を狙ったキックは山梨学院のGK熊倉が横っ飛びでセーブ。

　「PK戦も起こり得るだろうなと思っていたが、GKの熊倉はPKが得意なので止めてくれると思っていた（長谷川監督）」という期待に応えた熊倉のセーブで、山梨学院が藤枝明誠との激闘を制し、ベスト8進出の権利を勝ち取ることに成功した。

(文＝藤原裕久)

▽第99回全国高校サッカー選手権
第99回全国高校サッカー選手権