履正社vs初芝立命館
後半に入り履正社のスピードに慣れてきた初芝立命館が反撃に出る。GKから落ち着いてパスを繋ぐスタイルで11番MF小泉宝真が左サイドをからドリブルで仕掛ける。岡本も前線で精力的に顔を出し起点になる。しかし履正社の3番DF李泰河、4番DF舩田陸人の2CBが壁として立ちはだかりフィニッシュまで持ち込むことができない。すると70分、履正社は10番MF後藤晴海が裏に抜け出したところをGKに倒されPKを獲得。これを後藤が自ら決めて3-0。そのまま履正社が初芝立命館の反撃を許さず3-0で勝利した。打倒履正社を掲げ挑んだ初芝立命館にとっては今年もベスト16の壁を崩せず悔しい敗戦となってしまった。勝利した履正社は10月25日ベスト8を賭けて大阪朝鮮高級学校と対戦する。
2得点の活躍で見事起用に応えた履正社FW廣野大河が「めちゃくちゃ緊張してたけど先輩方が後ろから(背中を)押してくれた」と前線で躍動した。この試合は3年生エースFW李晃輝のケガで出番が回ってきた形だ。「常に運動量を欠かさずやって少しでも相手に隙があればそこをつく」という意識が実を結んだ。コロナ禍の中でも練習の手を抜かない先輩達を近くで見ながら廣野も努力をしてきた。「いつも頑張ってるんだけど最後に(シュートを)外す子。その子が2点取ってくれたのは収穫だよね」と平野監督も活躍を喜ぶ。選手権で優勝するチームに必要なラッキーボーイに廣野が名乗りを上げた。
勝利した履正社の平野直樹監督は試合後「勢いがなかったね。いいプレイをしようとかミスしたくないとかネガティブな要素が入り込んで見ていてハツラツとしてない。ぶったようなプレイをしている」と課題を口にした。今年のチームは「どこが相手でも複数得点できるし、失点もそんなにしないからアベレージはいい。ケガ人が出てもそんなにチーム力が落ちることがない」と評価は高いが、「今年はインターハイが中止になったことで勝負にこだわる場数が足りていない」という経験値の少なさだけが不安要素か。この選手権を通してその経験値を積み重ねることでチームが成熟できるか。2014年ぶりの優勝に向けて履正社の選手権は始まったばかりだ。
(文・写真=会田健司)
▽第99回全国高校サッカー選手権大阪予選
第99回全国高校サッカー選手権大阪予選